最近読んだ本、見た映画・芝居、聞いたCD

2013年12月11日

ブランカニエベス

ブランカニエベス1920年代のスペイン・アンダルシア地方を舞台にしている。モノクロの無声映画という点の珍しさもあって、評判になっているのかもしれないが、私自身はこの形式に対しての目新しさは感じない。卒論のテーマが1920年代のドイツ無声映画だったせいか、その頃の映画は見ている方だからだろう。その時の作品が気に入った理由も「光と影だけの映像」「映画的な効果のわかりやすさ」「女性の魅力を最大限に引き出している」といったあたりだったので、この作品もそのあたりについては共通している。

音楽の効果も的確だが、これがもし生演奏だったらと思うと眩暈がする。私は生伴奏のピアノで無声映画を観て、その魅力に触れたのだった。

アントニオ・ビヤルタが事故に遭うシーン、祖母が倒れるシーン、エルカンナに父娘が見つかるシーン。すべて、映像が回転している。この辺の効果がドキドキしてしまって、見ていられない。おそらく、この映像の後にとても悪い結果が待ち受けていることを明示的に示しているからだろう。ほかにも様々なシーンでサスペンスが満載で、「白雪姫と同じ流れ」だとわかっているのだから大丈夫かと思いきや、いやわかっているからこそ怖くなってしまう。

無声映画は映画ってやっぱり映像だと思わせる力をもっている。これほどまでに全編にポスターに出来そうなカットで満載な映画、久しぶりだ。

マリベル・ベルドゥが素晴らしい。いかにも楽しそうに演じている。こんな良い役、やりがいのある役はそうそうないだろう。私は「天国の口、終わりの楽園。」以来だが、あの時より良い。見とれてしまう。

公式サイト:http://blancanieves-espacesarou.com/
監督・脚本・原案:パブロ・ベルヘル
出演:
マリベル・ベルドゥ:エルカンナ(継母)
ダニエル・ヒメネス・カチョ:アントニオ・ピヤルタ(父親)
アンヘラ・モリーナ:ドナ・コンチャ(祖母)
マカレナ・ガルシア:カルメン(白雪姫)
ソフィア・オリア:カルメンシータ(白雪姫の幼少期)