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2004年2月18日

負け犬の遠吠え

負け犬の遠吠え■著者:酒井順子
■書誌事項:講談社 2003.10. ISBN4-06-212118-2
■感想
2月は何故か話題の本が読みたい月になった。とは言え、1日で読んじゃったんだけど。やっぱりこういうエッセイはコストパフォーマンスはあまりよくないな。
にもかかわらず、めずらしく何故読もうと思ったのか。たまたまインタビューを読んで、やっぱりなんだか変なことを言う人たちがいるんじゃないかと思ったせいだ。で、感想としては


  1. こういうのは読んでから、まともにとりあえずは書いた通りに受け止めてから論争しましょう。あまりに勘違いしている人が多いので、その点は予想通り。つまり本著の大前提に対して文句を言うことはおかしい。これは単に「どんなに美人で仕事ができても、30代以上・未婚・子ナシは「女の負け犬」なのです」という前提に立ってみたら?というエッセイにすぎない。
  2. これは世の中、間違っているか正しいかは別にして強引にclassificationすることによって見えてくるものはあるもんだな、という一例。
  3. 結構笑えるところが多い。20代、30代の女の人なら誰でも何かしら共感なり反発なりがあるんじゃないのかな?だからと言ってみんな読んだ方が良いとは言わないけど。

追加したいことが1点だけ。今の30代の母親の世代、50代〜60代の女性が「負け犬」を育んでいると言っても過言でないと私は思う。戦争は直接知らないか子供の頃だったので強烈に影響を受けてない人も結構いて(父親を戦争で亡くして戦後の子供時代に苦労している人もいるが)、その上の世代、つまり今の30代の祖母の世代ほどは苦労していない。嫁姑問題や介護も苦労している人が圧倒的なわけじゃなく、逃れられている人もいる。というか「家付きババ抜き」などと言ってた世代じゃないかと思う。結構安易に就職できたし、安易に見合い結婚もできたし、当たり前のように子供を産んだ。でも亭主は家庭を顧みないし、なんだかつまらないわー。自分の娘にはこんな思いをさせたくない。だからちゃんと大学も行ってちゃんと自立できるよう、仕事が出来るようにさせたい。とかいう妙な「負け」感があったりする。
そのくせ、元々自分たちは「勝ち犬」なのである。世間一般の「世論」の後押しをして、「30代独身女は所詮は負け犬」と言わせてしまうような空気を作っているのもこの世代の一翼なのだ。「仕事はちゃんと持て」「でも結婚もしろ」というなんだか勝手な世代じゃないのかな。まぁ間違ってはいないんだけどね‥そうそう思うようには行かないので、孫をGetできない50代〜60代も多いわけだ。なんてったって、2000年の国勢調査によると、東京都23区内の30代後半女性の未婚率は22%だそうだ。全国でも16%とかだったと思う。これでもう、みんな安心しちゃったりするんだよね(笑)。
まぁ、世の中全般の傾向なんて、私はコラムニストでもないので、どうでもいいんだけどね。