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2001年8月23日

ラテンアメリカ短編集―モデルニズモから魔術的レアリズモまで

■著者:野々山真輝帆編集,日比野和幸訳
■書誌事項:彩流社 2001.7.1 ISBN4-882-02668-6 2200円
どうもたまにしか見ない出版社だな、どうも、よく見ない作家たちだな、と思っていたら、スペイン文学系の出版社らしい。加えて、ポルトガル語の方がメインのようだ。ラテンアメリカにしては派手でもスタイリッシュでもない装丁だな、と思っていたら、カルチャーセンターのテキストだそうだ。どうりで教科書くさい。さらに、どうも、この日比野和幸という人の訳は古くさいと思っていたら、大正14年生まれというおじいちゃんだ。野々山先生の方も昭和9年生まれだから、現代のラテンアメリカ文学の作家、というわけにはいかず、今世紀初頭の作家が多い。モデルニスモの時代、というわけだ。
幻想文学の作品ばかり。一通り幽霊話ですね。好みではないが、好きな人は好きなんだろう。

降誕祭の宴:ルベン・ダリオ著,野替みさ子訳
ニカラグア(1867〜1917)。チリ、スペイン、パリ、ブエノスアイレスなどで文学活動を行う。作品に詩集「俗なる読唱」(1896年)、散文「稀有なる人々」(1896年)、詩集「生命と希望の歌」('05年)、紀行記「ニカラグアへの旅」、自伝小説「El oro de Mallorca」など。
麻薬の手を借りないとシュールな映像が出てこないあたりが中途半端。
聖夜のできごと:ルベン・ダリオ著,平井恒子訳
前作とはうって変わって童話風の宗教話。
落ちた天使:アマード・ネルボ著,豊泉博幸訳
メキシコ(1870〜1919)。堕天使のおとぎ話。この短さとまとまりが、いかにも「大学の教科書」になりそうな素材。ガルシア・マルケス「大きな翼をもった老人」の方が全然面白い。
客人:ラファエル・パレット著,日比野和幸訳
スペイン生まれ