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2004年7月21日

苺とチョコレート

苺とチョコレート■Fresa y Chocolate 110min キューバ/スペイン/メキシコ 1993
■スタッフ
製作:ミゲル・メンドーサ
監督:トマス・グティエレス・アレア/ホアン・カルロス・タビオ
原作・脚本:セネル・パス
撮影:マリオ・ガルシア・ホヤ
音楽:ホセ・マリア・ヴィティエル
出演:ホルヘ・ペルゴリア/ウラディミール・クルス/ミルタ・イバラ/フランシスコ・ガットルノ/ヨエル・アンヘリノ/マリリン・ソラヤ
■感想
原作は読んでいたのだが、「マジカル・ラテン・ミステリーツアー」を読んで映画を見ていなかったことに気づいたので、DVDを購入。キューバ版「蜘蛛女のキス」というべきか「蜘蛛女のキス」を軟弱にした感じ、というべきか。「蜘蛛女のキス」とは年上のゲイのアーティストvsガチガチの左翼青年という構造は同じだが、国が違うので反体制の側が逆転している。

マッチョな国なのでゲイを否定する土壌の上に共産主義が乗っかって、迫害されて大変なのに、堂々とゲイをやっているのだから、ディエゴは本来勇気のある男なんだろう。それに対して革命のおかげで貧しい農村から出てきて大学に通うことが出来たため、革命に心底魂を捧げているように見えるダビドの方が、いつまでもふられた彼女のことを思っていじいじといじましい。ノン気の方が最初は反発するが、最後は友情で結ばれる展開で、映画では「ナンシー」という見張り役が重要な役回りとなる。

しかし、どうしてああ映画でゲイを見ると、優しくていい人なんだろうなぁ...繊細だし、親切だし、愛情あふれるし。それに「ブエナビスタ・ソシアルクラブ」で見たハバナとほぼ同一。公園とかそっくりそのまま。舞台が元々は美しい街なので、非常にロマンチック。言い換えれば映画のタイトル通り、甘ったるい。

監督はカストロの友人で体制側の監督だし、検閲も通っているというが、なんだか微妙な気はする。今のキューバの現状を描いてなおかつ体制に対しても肯定すべき点がある取れる部分もあるし、結局反体制の側が出て行くのだから体制側とも言えるし...。反革命分子も「国を思う気持ちは同じ」というところでパスしたのか。一応「ゲイが存在する」と認めたところで進歩なのかな...。

それにつけてもレサマ=リマ、日本で翻訳されないなぁ。国書刊行会の「パラディソ」いつ出るんだかね。

ところで関係ないですがオリンピックの季節となり、何故キューバが野球が強いかというと、やっぱり反米意識からなんでしょうかね。というのも、野球はサッカーと異なり、アメリカが完全に占領した国、たとえば日本、韓国、ニカラグアとかで盛んなんで。