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2002年9月 3日

ロバと歩いた南米・アンデス紀行

ロバと歩いた南米・アンデス紀行■著者:中山茂大
■書誌事項:双葉社 1998.10 ISBN4-57528871-3
■感想
よくある大学生の放浪記なのだが、アルゼンチンの紀行もので最近のものは少ないので読んでみた。比較的最近の若者なので、古い時代のバックパッカーやホーボーなどとは違って、さほど広大な夢があるわけではなく、焦燥感にかられての旅行というモチベーションである。だらしなく、身勝手で、お人好しで、危機意識が低い。けれどあまりに等身大なので普通の人っぽさにかえって親近感がわく。
何故ロバか、というと、単にバックパッカーであるため、荷物が多いから、荷物を運ぶロバが欲しかった、というだけの話。最初は更に安易に2頭連れて、1頭に自分が乗るつもりだったが、2頭とも同時に見ることが出来ずに逃げられる。次に馬を選ぶが、これもあっという間に逃げられる。
というわけで、結局自分は徒歩で荷物だけロバが運ぶことになる。でも、実際は「のんびり」と景色を眺めながら旅がしたかったのだ、ということがわかってくる。ようやくボリビアの田舎・ベーニャブランカから南米大陸最南端のウスアイアまで、5700km、307日をかけて旅をする。
一部チリにも入るが、ほとんどの旅程がアルゼンチン国内になる。南下する旅で、ゲバラがブエノスアイレスからバイクで北上して行くのとは逆になる。テレビや新聞で報道されて次第に有名人になってしまうあたりがゲバラの旅行でもあったことで、今も昔も記事がないんだなぁ。平和だな、というのんびり感があって良い。
見知らぬ人の親切に触れ、ピストル強盗にあったり、と旅の醍醐味はきちんと味わうのだが、ロバとの交流が一番面白い点かもしれない。
日本に帰国した後の後日談が結構泣けるのだが、ここまでは触れないでおこう。