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2002年6月14日

オウエンのために祈りを/ジョン・アーヴィング

A Prayer for Owen Meany, 1989

オウエンのために祈りを 上オウエンのために祈りを
中野圭二訳 新潮社 1999.7.30(ジョン・アーヴィング・コレクション)
上:2,300円 ISBN4-10-519103-9下:2,400円 ISBN4-10-519104-7

5歳児ほどの小さな身体。異星人みたいなへんてこな声。ぼくの親友オウエンは、神が遣わされた天使だった!?宿命のファウルボールによる母の死。前足を欠いたアルマジロの剥製。赤いドレスを着せられた仕立用人台。名人の域に達した二人組スラムダンク。―あらゆるできごとは偶然なのか?それとも「予兆」なのか?/名門プレップ・スクールの学校新聞編集長として活躍するオウエンと、なにかと彼に頼りっきりのさえないぼく。ヴェトナム戦争が泥沼の様相を呈しはじめるころ、オウエンは小さな陸軍少尉として任務につく。そしてぼくは、またもや彼のはからいによって徴兵を免れることになる。椰子の木。修道女。アジア人の子供たち。―オウエンがみる謎の夢は、二人をどこへ導くのか?映画「サイモン・バーチ」原作。


オウエン・ミーニーという人物に「ブリキの太鼓」のオスカーを重ねないのは、私には無理というものだ。小人症、奇妙な声。もちろん全然違う人物なのだけれど。オウエンの運命に向って突き進んでいく姿は自分の生きる意味を求めて、そこには自らの死があると知りながら、使命に従おうとする強い意志に共感しました。

「神様には何か計画がある」という言い方に宗教的な面を感じて、日本人には合わないと思われる人も多いでしょうけれど、これは別に宗教ではないように思います。「天意」といったら我々にもわかりやすいというか、歴史上の人物がよく言う台詞です。現代人には失われてしまった「生きる力」を感じさせてくれて、充分楽しめました。

オウエンのために祈りを 新潮文庫 上オウエンのために祈りを 新潮文庫 下新潮文庫 2006.9
上:ISBN978-4-10-227310-4
下:ISBN978-4-10-227311-1


サイモン・バーチ「サイモン・バーチ」Simon Birch
1999年5月 113分 アメリカ

監督:マーク・スティーヴン・ジョンソン<Mark Steven Johnson>
製作:ローレンス・マーク<Laurence Mark>/ロジャー・バーンバウム<Roger Birnbaum>
脚本:マーク・スティーヴン・ジョンソン<Mark Steven Johnson>
撮影:アーロン・E・シュナイダー<Aaron E. Schneider>
音楽:マーク・シェイマン<Marc Shaiman>
出演:イアン・マイケル・スミス<Ian Michael Smith>/ジョセフ・マッゼロ<Joseph Mazzello>/アシュレイ・ジャッド<Ashley Judd>/オリヴァー・プラット<Oliver Platt>/デヴィッド・ストラザーン<David Strathairn>/ジム・キャリー<Jim Carrey>