2004年11月 : アーカイブ

2004年11月24日

旅するシネマ


■著者:秋山秀一
■書誌事項:同文書院 2000 ISBN4-8103-7726-1 1500円

ネットで本を探していると、こういうミスが起きる可能性があるということで教訓として記録しておきたい。「都会のアリス」「まわり道」「さすらい」などの文字が目次に並んでいる。テーマもそれにぴったりだ。値段も値段だし、2000年の刊行で、これだけの映画について書かれている本が引っかからないわけがない。おかしいと思ったんだ~。

映画の舞台となった場所に関する、個人的な旅のエッセイが添えられているだけ。ほとんど映画とは関係ありませんでした。やれやれ。

2004年11月20日

トラベリング・ウィズ・ゲバラ

アルベルト・グラナード著,池田律代訳
■書誌事項:学習研究社 2004.10.16 ISBN4-054-02609-5
■原題:Con el Che Sudamerica, Alberto Granado, Editiorial Letras Cubanas. Giudad de la Habana, 1986.

「モーターサイクルダイアリーズ」の原作の片方。ゲバラの書いた「モーターサイクル南米旅行日記」をもう一度読み直し、これと逐一比べながら読んだ。全体的にグラナードの方が読んでいて詳しいし面白い。ゲバラの方も充分面白いのだが、これだけでは映画はあんなにふくらみのあるものにはならなかっただろう。

映画では重要な下記のいくつかの点の記述がない。映画になってからグラナードによって追加されたノンフィクションなのか、それとも脚本によるフィクションなのかはっきりとは判明しないが、私にはどうもフィクションと思われる。
1.チチーナに水着を買って来てと言われて預かった12ドルの件は出てこない
2.チリの鉱山で出会った共産主義者の労働者とその妻は登場する。お金をあげたエピソードはない。
3.エルネストが誕生日に泳いでアマゾン川を渡ったとされる場面。実際には誕生日の日ではなく3日後くらいに本当に渡ったとグラナードの方には記載がある。ワニが泳いでいるような川で、川幅2kmくらいあったようだ。

面白いエピソードはほとんど実際あったようだ。
1.恋人のためにバイクで犬を連れて行ったこと。
2.エルネストが修理工の奥さんに誘われて、でもダンナの目が光っていることに気づいて奥さんがイヤがったが、酔っぱらってその気になったエルネストと押し合いになって、グラナードと二人必死で逃げたシーン。
3.正直者のエルネストはお世話になった博士の本をけなさないではいられない。
4.船の上で娼婦と出会う。イルカのエピソード。でも実際には何もなかったようだ。お金がないからだろう。

でも、ゲバラの方のだけを読むとものすごくあっさりしていて、あんなに面白いエピソードだとは気づかないほどだ。

映画にはないが、チリでボランティアで消防士の仕事を手伝うくだりがある。チリの森林地帯に近く、山火事が頻繁に起こる土地で、実際に火事にあった。犬だか猫を助け出したのがグラナードの本だとエルネストになっているし、エルネストの方だとグラナードとなっている。実際はおそらくエルネストが助け出したのだろう。エルネストは自分だとは書けない性格だったのではないかと想像される。

ゲバラの日記はスペイン語で刊行されたのが1993年、グラナードの方は1978年だ。刊行されたのはゲバラの方が遅いが、グラナードの方はゲバラの死後に「チェに捧ぐ」と書いてあるように、元となった日記に加筆修正して“若き日のゲバラの姿”が随所にちりばめられている。そのせいもあって、内容的にはグラナードの本書の方が詳細だ。ゲバラの方は飛んでいる箇所が少なくない。例えばコロンビアのレティシアでボゴタまでの旅費を稼いだサッカーコーチの話などはゲバラの方には軽くしかふれられていない。

ちなみに、ミジョナリオス・デ・ボゴタにディ・ステファノが所属していたのは確かに1949~1953年で彼らの旅の時期1951年~1952年と一致する。が、レアル・マドリーとの試合があったかどうかは確認できず。しかし、この後ディ・ステファノはレアルに移籍する。これがまたバルサとの確執の火種になっているのだが、まぁそれは関係ないのでおいておいて。

ゲバラの方はタイトルに「モーターサイクル‥」とあるが、バイクで旅が出来たのはアルゼンチン国内だけで、チリに入ったとたんにバイクが完全に壊れてしまい、あとは徒歩やヒッチハイク、密航、筏などの方法をとって旅をする。これが現地の人たちとのふれあいを増やして更に実りの多い旅にしたことは間違いない。

ゲバラの方の日記では時々母親にあてた書簡が挿入されている。ひどい喘息持ちでこんな無茶な旅をして、かわいい子には旅をさせろというが、心配だっただろうななどとつい思ってしまう。けれど、映画で見る限り、今でもおそらくは同じ道を辿れば同じような旅が出来るのではないかと思えるほど、自然の風景は変わっていないと思う。グラナードはアマゾンのジャングルに憧れていた節がある。ゲバラの目はどちらかというと、貧しい人々の暮らしぶりの方に真摯に向けられていると感じられる。

旅行記としてはグラナードの書いた本書の方が面白いと思う。ただ、ゲバラの生真面目さも捨てがたい気はするな。

2004年11月15日

YOSUI TORIBUTE

YOSUI TORIBUTE2004.11.10 フォーライフ・ミュージック・エンタテイメント
公式サイト
FLMEの公式サイト

井上陽水のトリビュートアルバム。私の知る限りだと下記のようになって、使い回しと言えるのはUAの「傘がない」くらいなもんじゃないのかな。ジェーン・バーキンと持田香織は最近だから。あと、これに録音したのを自分のアルバムにも収録するっていうのが、とりあえずDOUBLE(同じフォーライフだもん)と平原綾香。

陽水はカバー多いです。ふと思っただけで「傘がない」をフライングキッズ、中森明菜(入れてあげて欲しかった)、山崎まさよしが「夕立」「少年時代」などなど。トリビュートアルバムって歌い手が楽しんでくれないと、聞き手も楽しめない。原曲と比べてあーだこーだと言いたくなるもんです。

全体的には若い人ほど楽曲に対して素直で良いかなと思うんだけど、なんだかなぁというのもあり。布袋くんと奥田民生。気負い過ぎ。ユーミンやキヨシローくらいに己を確立していないんだなってことがよくわかりました。全般的に女性の方が出来が良いのは、陽水が男だからそれだけ距離がおけるからってことかもしれません。


TRICERATOPS「夢の中へ」
→とても素直な編曲でいいんじゃないでしょうかね。

布袋寅泰「東へ西へ」
→懲りすぎ。やりすぎ。この曲本木雅弘や町田康なんかのカバーもあるから、気合い入ったんでしょうけど、

平原綾香「心もよう」
→陽水は非常にストレートに歌っているのですが、平原綾香も予想よりはひねらず素直に歌っていると思う。あまり歌い込みが過ぎるとこの曲は演歌になりかねない危険性を孕んでいる。いいと思う。アルバム(2004.11.25発売)にも収録。

奥田民生「リバーサイド・ホテル」
→わざわざ録音し直したというほどの出来じゃないと思う。

小野リサ「いっそセレナーデ」
→元々好きだから、っていうのもあるのだけど、私にはこのトリビュートの中でのベスト2です。すごいいいですね。元がせつない曲なんですが、ふわっとした曲になり、全然違う楽曲になりました。歌もアレンジも、これくらい離れてくれると、すごくすっきりします。

BankBand「限りない欲望」
→桜井和寿も最近出したアルバム「沿志奏逢」でカバーしていますが、まるでミスチルを聞いてからカバーしたかのようです。元が実はあまり好きじゃないので、いいんじゃないでしょうかね。

ジェーン・バーキン「カナリア」
→正直、拒否反応を示しました。すみません。アルバム「ランデ・ヴー」(2004.3.31)に収録。

UA「傘がない」
→あ~いいですね~。2000年の年末にNHKで放映された「井上陽水ハローグッバイ」で歌っていました。その後、「あろは~aloha all casts presents 12 smile&pray」(2002.10.9発売)に収録されています。これはUAのアルバムには収録されてないんですね。意外。
去年の今頃かなぁ。UAめちゃめちゃはまりました。アルバム全部聞きまくったんだけど、すぐに飽きて、全部売っぱらいました。ものすごい短いブームでした。このトリビュートの3本の指に入ります。

持田香織「いつのまにか少女は」
シングル(2004.10.20発売)を陽水自身がプロデュースしています。ま、いいんですけどね。あまりエコーきかせないで欲しいです。。

松任谷由実「とまどうペリカン」
→御大。おいしいところ持って行きますね。元々女性の歌ですからね。ああ、別の曲になってますね。だって本当に音を変えてるんですもん。まぁいいですけど。「とまどうペリカン」は陽水自身が言ってますが、楽曲としては陽水のナンバーワンです。が、惜しむらくはオリジナルのアレンジがすごく悪い。本人もそう思っているらしく、ベスト版やら何やらでいろいろアレンジを変えて録音し直しています。が、私が一番気に入っているアレンジはライブでしか聞けていません。松任谷御大も、これだけ変えるのなら、思い切ったアレンジにしちゃってもよかったんじゃないですかね。

玉置浩二「白い一日」
→前からやりたかったんでしょうねぇ。でもあなたには今一つじゃないかなーと思ったんですけど、出来る限りストレートに歌っています。彼は、まぁ外さないよね、デュエットした仲(「夏の終わりのランデブー」)というか、一緒に曲を作った仲というか(「ワインレッドの心」)。逆にそれがプレッシャーになるかなという気もしたのですが、そうでもない出来でした。

DOUBLE「ワインレッドの心」
→自前の若い人においしいところあげましたね。DOUBLE「Life is beautiful」(2004.11.24発売)にも収録されています。

一青窈「ジェラシー」
→これはアルバムには収録されていないようですが、フジTV「僕らの音楽」で歌ったそうですね。亡くなったお母さんが陽水ファンだったとかで。まぁまぁじゃないですかね。とてもいい!というほどじゃないんですが。

忌野清志郎「少年時代」
→サイコーです。このトリビュート、わざわざ買ったかいがありました。発表時は彼だけ曲が未定だったんですね。「帰れない二人」なんてやったらふざけんなと(だって聞いたことあるもん)思ってたんですが、どういう少年時代なんだろうと思ったら、そうですよ。夏なんですから、いいんですよ、これで。すっかり肩の力が抜けて良いです。ただ、他の人がやったら許さなかったことでしょう。

2004年11月 6日

映画の森―その魅惑の鬱蒼に分け入って

映画の森―その魅惑の鬱蒼に分け入って■著者:川口敦子
■書誌事項:2000.11.10 芳賀書店 ISBN4-8261-0153-8

映画監督・俳優のインタビュー集。ここのところ映画の評論ばかり読んでいたが、ほとんど1980年代後半~1990年代初期のもので、全然新刊書店にはない。内容的にも、少し古い映画ばかりだ。これは刊行は比較的新しいが、やっぱり中身は少し古いかな‥。サム・シェパードとかウェイン・ウォンとか好きで読んでみたんだが。値段は確かに高い。しかし、この人数、全部インタビューしたのかと思うと、それはやはりすごい。

orange pekoe in autumn

orange pekoe in autumnBMGファンハウス 2004.11.4 Official Site

こういうミニアルバムで季節ものって、どうも買ってしまう。自分へのちょっとしたプレゼントのようで、何となく嬉しい。しかも、今回はジャズ・ミュージシャンを従えてのゴージャス・ミニアルバム。「ポエティック・オー」から3曲、オリジナルが1曲(Calling You)。「ポエティック・オー」も悪くないけど、二人っきりの録音でシンプルだったから、こういうのもやりたくなったんでしょう。やっぱ楽しそうだし。そうそう。こういう音のオレペコが私は好きなんだって。あーライブ行きてー。とうてい行けないけど‥

1. 輪舞 with OP's
2. 煙のセレナード with OP's
3.STORY with OP's 
4.Calling You
5. 輪舞 from Poetic Ore