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戯曲

狂人なおもて往生をとぐ―昔 僕達は愛した―

初出:『テアトロ』1969年3月号
収録:「現代日本戯曲大系 第8巻」p28~61 三一書房 1972.6.15
「狂人なおもて往生をとぐ」p3~121 中央公論社 1970.1.20
「現代の文学 37」p115~170 講談社 1973.5.30
「狂人なおもて往生をとぐ」p1~130 新水社 1987.3.25
「清水邦夫全仕事1958~1980上」p247~307 河出書房新社 1992.6.20

【上演データ】
1969(昭44)年3月9日~29日
俳優座第91回公演
会場:俳優座劇場
演出:西木一夫
装置:安部真知
照明:染谷幸典
効果:田村悳
衣裳:若生昌
出演:永井智雄/原田芳雄/古屋一行/村瀬幸子/清水良英/片山真由美

 

1981(昭56)年12月10日~15日
青年座スタジオ公演
会場:渋谷ジァンジァン
演出:石沢秀次
美術:清水邦夫/濃野壮一
照明:日高勝彦
音響:深川定次
出演:湯浅実/山本与志恵/立原淳平/星充/早瀬みどり/川辺裕子
【あらすじ】
 ピンクの照明が妖しげに光る娼家。大学教授と名乗る初老の男はここの女主人の客である。そして青年は女主人のヒモで、ここから逃げようとしているが、彼女の優しさから逃れられない。この娼家には若い娼婦もいて、彼女の客である若い男もやって来る。
 彼ら5人はまるでここが一つの家族であるかのようなゲームを始める。初老の男が父親、女主人が母親、青年が長男、若い女が長女、若い男が次男。ところがそのゲームとは…?
【コメント】
 舞台としては「真情あふるる…」の半年前に上演された作品ですが、作品が書かれたのはこちらの方が後です。話題性としては恐らく「真情…」の方が大きかったのでしょうけれど、劇作としてはこちらの方が名作だと思います。実に舞台的な設定、見事な逆転と伏線と結末。きっと今観ても舞台の上に夢中になってしまい、息つく暇なく三幕が終わってしまうのではないかと思います。
 また、これは安部公房の推薦で俳優座公演のために書き下ろした作品です。劇作を始めて約10年たち、3年前岩波映画を退社して、劇作家として一本立ちするのにふさわしいものを書かねばならないという状況だったのではと推測されます。そして新しい世代の作家としての地位を確立した、まさに転機の一作だったのでしょう。
 内容について触れてしまうことになるので、これ以上書けないのが残念です。
 10歳年上の60年代安保世代の兄から70年代安保世代の弟へのオマージュは、この後も続きます。
 


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