「ゴールデン・ベスト」が大ヒットし、ハイペースでコンサートを行い(あまりのハイペースぶりに、ついに行けなくなってしまった)、昭和歌謡のアルバムを出し、このままボーカリスト井上陽水として行くのかなぁ。もうソング・ライティングは出来ないのかなぁと思っていたら、ようやく4年4ヶ月ぶりのオリジナル・アルバムが出た。CMソングやテレビドラマなどですでに発表されているものが収録されているのは、ここのところずっとそうだが、アルバムとしての統一感というようなものがないのは、そのせいばかりではあるまい。意図的にバラエティな音作りをしているせいだろうと思われる。よく聞くと良い曲が多いのだが、すごく印象に残るというアルバムでもないのは不思議だ。
なんだかとても21世紀っぽい出だしだと思ったら、ちょっと懐かしい感じのオルガンがフューチャーされている不思議な曲「イミテーション・コンプレックス」でスタート。「この世の定め」は“聞茶”CM第3弾。風刺の効いたラップ風の「テレビジョン」。これは「最後のニュース」「ビルの最上階」の路線で、ああ、やっぱりBANANAさんのアレンジだなぁと確認した。
「Final Love Song」は“聞茶”CM第4弾で、いいバラードなんだけど、なんでこんなにエコーがきいてるんだろう?「森花処女林」(もりはなしょじょりん)はドラマ“ランチの女王”の挿入歌。この2曲はアルバムの代表的なバラードだろう。
アルバムでいうと、B面に入ると、突然アナログな世界になる。平井夏美が作曲で入っていて、ロカビリーとはちょっと意外な「パンキー・ロカビリー」。“ショッピング”っぽいなぁと思ったのが「結局 雨が降る」。ビートルズの初期、リバプールサウンドというか、マージービートというか。三谷幸喜の芝居“You Are The Top 今宵の君”の劇中歌だった「You Are The Top」はオシャレなナンバー。「都会の雨」は少しジャズ風な雰囲気。「決められたリズム」は映画「たそがれ清兵衛」の主題歌で、いつもの陽水の“日本の歌”シリーズ。少年時代の系譜である。これに平井氏が入っているのかと思ったら、意外にも陽水一人だった。でも「長い坂の絵のフレーム」と同じ小島良喜のピアノだった。なるほどなぁ。
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