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05/31

2011

妖精消失/安堂維子里

妖精消失/安堂維子里徳間書店 2011.4.1 (リュウコミックス) ISBN978-4--19-950231-6


「世界の合言葉は水」で不思議なSF世界を見せてくれた安堂維子里の2冊目の単行本。すべて徳間のCOMICリュウにて発表された作品である。私はこの人のやわらかい絵が気に入っている。前作はまさに「水」がテーマだし、今作の妖精の羽がやわらかくて、やぶれそうで、もろくて、感じやすい、そんな絵がいいなと思う。

ジャンルとしてのSFやファンタジーにはまるで強くないが、漫画の世界でこれを通らないわけにはいかない。BLと同じくらい、当たり前のものだと思っている。そんな中で妖精は様々な作家に描かれているが、私は波津彬子が時折登場させる妖精が気に入っていて、絵の感じは違うが、造形はかなり近い。人間と妖精の世界を行き来する話もあったし、比較的親しみやすい世界だった。

この物語のおもしろいところは、妖精と人間世界の違いを「時間」の有無においたところだ。妖精の世界には時間がない。それはなぜかというところがSFっぽいところだが、なるほどなとSFに不慣れな自分のような人間は素直に納得してしまう。

ここに登場するフェアリウム(アクアリウムの妖精版?)が本当にあったら、流行りそうだ。手間はかかるが、手先の器用さとは別のセンスと根気があれば作ることができるフィギュアのようなものだと思う。

■初出誌
Install of Fairy...「月刊COMICリュウ」2009年12月号
FAIRIUM...「月刊COMICリュウ」2010年4月号
The Fairy's Clock...「月刊COMICリュウ」2011年3月号
はやぶさ帰還篇~地球へ~...「月刊COMICリュウ」2010年10月号 別冊「小惑星探査機はやぶさ 帰還記念読本」

09/10

2010

ゆるふわSF特集

『FRaU』2010年9月号の本とマンガ特集に「女子もハマれるネオSFマンガ」という門倉紫麻さんの選んだマンガのページがありました。この最初のものが「山へ行く」(萩尾望都)だったことや、ちらちらと知っているものもあったので、全部読んでみようかと、思って読んでみました。

山へ行く 萩尾望都

「山へ行く」萩尾望都 小学館

ハードなSFのイメージの強い萩尾先生ですが、こちらは短編集ですし、日常の中のなんとなく違うなという感じの作品群なので、とっつきやすいです。家族の話が多かったりもします。名作「柳の木」収録。鳥肌が立ちます。『flowers』で連載中。

小煌女 海野つなみ

「小煌女」1~2巻 海野つなみ 講談社

当初はクラシックな感じのSF学園ものだったのが、突然の大逆転が起こってあれよあれよという間に話が拡大していきます。絵は好きではないのですが、意外におもしろいです。『KISS』で連載中。

世界の合言葉は水 安堂維子里

「世界の合言葉は水」安堂維子里 徳間書店

『コミックリュウ』に発表された短篇を集めたもので、私は初見でした。水がテーマなので海や雨が多く出てきます。ゆったり、ほんわりとした優しさに包まれた不思議なSFです。どれも良いのですが、特に「ぎゅう」が気に入りました。こういう感覚って、言葉で説明できないのですが「なんとなく本当はこうだったらおもしろい」と思えるツボなのです。これはオススメです。

テルマエ・ロマエ ヤマザキマリ

「テルマエ・ロマエ」1巻~ ヤマザキマリ エンターブレイン
昨年大ブームを起こした作品です。「マンガ大賞2010大賞」「手塚治虫文化賞短篇賞」を受賞。以前イタリア家族漫画を読んだことがありましたが、最初はあれを書いた人と同一人物とは思いませんでした。古代ローマに現代日本のお風呂を導入していく話なのですが、これを「上から目線」という人の考え方はよくわかりません。ルシウスが「平たい顔族の風呂はここがすごい!」と思うところでこちらも再発見があり、そして様々な機器類を勘違いしながらもその効果をきちんと読み取り、自分なりに作り直していくところがおもしろい。比較文化論とかいうおおげさなものではありませんが、ルシウスの柔らかい頭に学ぶところは多いです。『コミックビーム』連載中で、まもなく2巻が発売されます。

虫と歌 市川春子

「虫と歌」市川春子 講談社

すごい人が出てきたなと、最初は言葉が出ませんでした。初期の作品こそ高野文子を思いっきり意識した作風でしたが、徐々に離れて行って、今は完全に独自のスタイルを作っています。ネットの中でがっちり論評が出ているので、そちらを読んだ方だ良いです(ひとりで勝手にマンガ夜話webDICE マンガ漂流者(ドリフター))。『ユリイカ』2010年2月号に小特集が載っています。

『アフタヌーン』に1年に1作ずつ描いていったもので、もうデビューして5年です。この単行本の後はスピードアップしたのか、今年に入って2本すでに発表されています。シンプルで細い線、白と黒とグレーのシンプルな組み合わせ。本当にマンガってこれだけシンプルなものなのだなということが実感できる絵です。お話はとても不思議なSFなのに、徹底した家族愛。特に兄弟が繰り返し出てきます。最新作「25時のバカンス」では姉と弟になっていますが、兄と弟、兄と妹だったり、いずれも微妙な人間関係で、だからこそエロティック。それにしても「虫と歌」っていうのは、なかなか手に取りにくいタイトルだなと思ったりします。私、虫がダメなので。

ともだち100人できるかな

「友達100人できるかな」1~3巻 とよ田みのる 講談社
ごくたまに連載を読んでました。肩に力の入っていないものを読みたいときに、ちょうどいい感じのSF作品。子供時代に戻っているせいか、こちらものびのびとした気持ちになれるのが不思議です。『アフタヌーン』で連載中。

第七女子会彷徨

「第七女子会彷徨」1~2巻 つばな 徳間書店

初見。そもそもイマドキの普通の女子高生がこんなに天然でかわいいのかどうか、それすらわからない私に、これが日常生活の中での異世界なのかどうかもわかりません。しかし、どんな不思議なことが起きても、女子高生はきっとたくましく対応していくのだろうなと思えます。二人とも恋に無縁なため余計な雑音が入ってこなくて、純粋に不思議な世界を楽しめるところもポイントでした。尾崎翠の「第七官界彷徨」からタイトルはとられているようです。『コミックリュウ』で連載中。

初見の作品もありましたが、興味深い作品ばかりでした。やはり『コミックリュウ』や『コミックビーム』『アフタヌーン』といった普段少女マンガとは縁のないところでがんばっている人たちです。その中で王道少女マンガとして『flowers』『KISS』も健闘しているというところでしょうか。門倉さん、おもしろい作品を教えてくださって、ありがとうございました。