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2004年4月23日

日の名残り

日の名残り■The Remains of the Day 134min イギリス 1994.3
■スタッフ
監督:ジェームズ・アイヴォリー
製作:マイク・ニコルズ/イスマイル・マーチャント/ジョン・コーリー
原作:カズオ・イシグロ
脚本:ルース・プラワー・ジャブヴァーラ
撮影:トニー・ピアース=ロバーツ
音楽:リチャード・ロビンズ
出演:アンソニー・ホプキンス,エマ・トンプソン,ジェームズ・フォックス,クリストファー・リーヴ,ピーター・ヴォーン,ヒュー・グラントほか
■感想
ジェイムズ・アイボリー監督作品は、私にとっては「秀作を作る監督」というイメージが強い。まぁまぁきれいで悪くはないけれど、どうしても全作品をおいかけたいというほど魅力的でもない。原作本のある映画は先に原作を読んでしまうと絶対に映画がつまらなく見えるので、先に映画を見ておこうと思っただけのことである。

「ハワーズ・エンド」の主役二人(アンソニー・ホプキンス&エマ・トンプソン)がそのままの組み合わせで登場。テーマなんかは非常に共感できるところがあって、サラリーマンとかやったことあると、その都度精一杯働いているつもりでも、本当にそれが会社のためなのかどうか、世の中のためなのかどうかと思う場面に出くわしてしまうことは、誰にでもあるわけで。

1930年代の英国/貴族の没落/戦争の危機といった背景をもった使用人もの、という共通点はあったものの、「ゴスフォード・パーク」とはまるで違う文芸作品である。そんなことはカズオ・イシグロ原作なんだから、あたりまえか。

アンソニー・ホプキンスの有能さはわかったけれど、エマ・トンプソンの有能さはどこにあるんだろう?確かにメイドをうまく育てたみたいだけど、具体的に彼女が動いたところというのは、アンソニー・ホプキンスの父の副執事のミスを見つけるくらいなものであった。これが一番不満点なんだな。具体的にきびきびと働くエマ・トンプソンを遠くから眺めるくらいのシーンはあってもしかるべきかなと。

ロバート・アルトマンがさすがなのかな、とも思うのだが、ジェイムズ・アイボリーはこれはお得意のジャンルで、製作も脚本もいつものメンツなのだから、もっと貴族の生活のディティールにこだわって欲しかった気がする。その点ではロバート・アルトマンの方が全然知らなかったわりには上だった。E.M.フォースター原作のものだとストレートに貴族を描けるので、そうじゃないとダメなのかなぁ‥。

まぁ、結論としてアンソニー・ホプキンスの執事の人生は本心を明かさないことによって幸せな家庭を築くという機会を逸してしまった後悔と、新しい雇い主にも評価してもらえたわけなので仕事に対する自負と。誰にでも後悔はあるし、自信のあることもあるしね。

2004年4月15日

ナイン・インタビューズ―柴田元幸と9人の作家たち

ナイン・インタビューズ■著者:柴田元幸
■書誌事項:アルク 2004.3.30 ISBN4-75740781-5
■感想
英文学者・柴田元幸氏が自分の翻訳した作家たちをアメリカ各地に訪ね歩いてまとめたインタビュー集。収録されているのは、シリ・ハストベット、アート・スピーゲルマン、T.R.ピアソン、スチュアート・ダイベック、リチャード・パワーズ、レベッカ・ブラウン、カズオ・イシグロ、ポール・オースター、村上春樹の9人である。いずれも蒼々たるメンバーである。村上春樹はアメリカ人ではないが、短篇がよくアメリカの文芸誌に掲載されるので、ここに含まれている。

私の目的はポール・オースターなのだが、他に興味をもったのは、シリ・ハストベットとアート・スピーゲルマン。シリはオースターの奥さんだが、作風が似ているかどうかも知らないので、一応読んでみようかなという気はする。シリ・ハストベットの「目かくし」アート・スピーゲルマンの「シカゴ育ち」、あと、カズオ・イシグロの原作はともかく、下記で見た映画のせいもあり、「日の名残り」を観ようかと。元々あまりアメリカ文学は好きじゃないんです(カズオ・イシグロはイギリス文学なのですが)。カート・ヴォネガットJr.とかね。

しかし、柴田氏にはこんなことやってる暇があったら、Timbuktu(1999), The Book of Illusions(2002), Oracle Night(2003)を翻訳して欲しいなぁ。って、たぶんやってるんでしょうけど、進んでないんだろうなぁ。