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帰ってくる子

初出誌:書き下ろし(24p)

チャイルド(異形コレクション7)

廣済堂出版文庫 1998.11.1 800円 ISBN4-331-60705-4
井上雅彦監修

イグアナの娘

小学館文庫 2000.12.10 514円 ISBN4-09-191381-4

萩尾望都パーフェクトセレクション 9 半神

小学館 2008.3.2 1680円 ISBN978-4-131224-2

【登場人物】
英明(ヒデ)中学1年生
優二(ユウ)小学校2年生
英一郎ヒデの父親。
キミエヒデの母親。
みえこおばさんヒデの叔母。
おばあちゃんヒデの母方の祖母。
【内容】
ヒデの弟ユウは3年前踏切事故で亡くなっている。母親はまるでユウがいるかのようにユウに話しかける。ヒデにはユウが見えているので、母親にもユウが見えているのだと思う。母親のユウに対する執着が、次第にヒデを追い詰めていく…。
【コメント】
お盆に帰って来る子供のお話。珍しく初出が書籍です。
タイトルと絵から小さい男の子が亡くなっていることはすぐわかります。ですが、彼が誰に見えているのかわからないのです。3ページ目ですぐに父親が「月命日か」と言い、母親が「3年よ」というので、母親の頭が正常なのはわかります。でも男の子に話しかけているので、見えているのだろうと思いながら読み進めます。ですが「なんかユウがいるようだな」という父親には見えていないようです。「ユーレイでもいた方がいい」という母親にもやはり見えていないのかもしれないなと思います。
次に、野球部の練習にユウが出てくるところで、ヒデには見えているのだとはっきりわかります。母親が語りかけているからこそユウが存在しているという理由付けはなくなりました。やはりヒデには見えているのです。だからこそ素行が乱暴になっていき、最後は父親に思いをぶつけることになるのです。「ユウ」の存在を確認するために流れを一つ一つ読んでいくと、綿密に計算されているように私には思えるのです。
結局ユウはいたのでしょうか?それはヒデにしかわかりません。
2010.8.18