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メッシュ

初出誌「プチフラワー」1980年夏の号(51p)創刊号

メッシュ MECHE

小学館 1981.8 780円

萩尾望都作品集・第二期 第11巻 メッシュ 1

小学館 1985.7 580円 ISBN4-09-178031-8

メッシュ 第1巻

白泉社文庫 1994.12 560円 ISBN4-592-88302-0

萩尾望都パーフェクトセレクション 4 メッシュ I

小学館 2007.10.1 1680円 ISBN978-4-09-131210-5

【登場人物】
メッシュ16〜17歳頃のチンピラ風の少年。金髪だが両脇だけ白銀という2色(メッシュ)の髪をもつ。
ミロン贋作画家。メッシュを拾う
ヒゲの医者ミロンのアパートの1階に住んでいる。メッシュの怪我を治してやっている
ドルーギャングっぽい男。メッシュとは知り合いらしいが
贋作画廊の主人ミロンに注文を出している表向きはまっとうな画廊の主人
バンドルーのボス。ギャングらしい
サムソンメッシュのボス。ギャングらしい。
【舞台】
現代のパリ,サンジェルマン,ド・ゴール空港,チュイルリー公園
【内容】
少年がリンチを受け、右腕の骨を折られる場面から物語は始まる。その少年はメッシュと名乗り、友達に泊めてくれるよう電話で頼むが、ボスの麻薬を盗もうとしたメッシュにかかわると自分の身が危ないとあっさり断られる。ふらふらと歩くメッシュの前に車が止まった。その男はメッシュが怪我をしていることの気付き、自分のアパートに連れて帰る。階下に医者が住んでいるのでみせてやり、自分のベッドで寝かせてやる。
翌朝目覚めると男はミロンと名乗り、いくところがないのなら好きにしろと言う。メッシュはそのままいついてしまい、なんとなく呼吸の合う二人の生活が始まる。
だが、メッシュの周囲にはギャングのような男がうろついており、夜中に悪夢で目が覚めるといった様子がミロンは気にかかる。ある日タバコを買いに出たメッシュにギャングのような男が近づき…。
【コメント】
凄惨なリンチの夜から、ミロンのアパートで迎える初めての朝の情景。そしてサムソンに殴られて帰って来た時、ミロンに「心配した」と言われた時の「ポチャーン」という音。光と音の作家、萩尾望都の魅力あふれる長篇の幕開けです。80年代の代表作だと私は思います。
この「メッシュ」という作品は遅れてきた世代の私にとっては、萩尾望都の最高傑作なのです。多分リアルタイムで「ポー」や「トーマ」を読んでいたとしても、そうだったと思います。客観的に見ても絵やデッサンの過渡期だとは思います。しかし、凄惨でかつ暖かい人間ドラマとしての「メッシュ」の魅力は決してあせることはありません。
この物語の全編を包むメッシュの真摯さとミロンの暖かさは最初から全開です。ミロンの強さと優しさはどこから来るんだろう、と読む度に思います。彼は怪我をした子犬を連れ帰って、養生させてやり、怪我をしているのにもかかわらず出て行ったまま長時間帰らないのを心配しているだけです。それは本当に人間として当たり前の優しさなのです。
けれど、それを当たり前と受け取ることが出来なかったメッシュ。そんな彼の傷を理解出来るからこそ、私もミロンの優しさに感動してしまうのだと思います。ありきたりで申し訳ありませんが、やはり私たちにとっても「癒し」の物語なのです。
これは傷ついた少年が歩いていく道のりと、彼を見守る人たちの優しくて厳しい物語です。何かの作品で萩尾望都を知ったけれど、この作品を読んだことのない方に、是非一読をお勧めします。