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スター・レッド

初出誌「週刊少女コミック」1978年23号〜79年3号(525p)

第11回(1980年)星雲賞コミック部門受賞

スター・レッド 第1巻(フラワー・コミックス581)

小学館 1980.3 340円

スター・レッド 第2巻(フラワー・コミックス582)

小学館 1980.6 340円

スター・レッド 第3巻(フラワー・コミックス583)

小学館 1980.8 340円

スター・レッド 第1巻 五世代―ペンタ

小学館文庫 717 1983.7 380円

スター・レッド 第2巻 六世代―ヘクサ

小学館文庫 718 1983.10 380円

萩尾望都作品集・第二期 第3巻 スター・レッド 1

小学館 1985.12 580円 ISBN4-09-178023-7

萩尾望都作品集・第二期 第4巻 スター・レッド 2

小学館 1986.2 580円 ISBN4-09-178024-5

スター・レッド

小学館文庫(新版) 1995.5 820円 ISBN4-09-191012-2

萩尾望都パーフェクトセレクション 8 スター・レッド

小学館 2008.1.30 1680円 ISBN978-4-09-131223-5

【登場人物】
徳永星(トクナガ・セイ)/セイ・ペンタ・トゥパール火星で生まれた少女
エルグ異星人。
陽一(サンシャイン)地球での星の暴走族仲間。ユーラシア貿易の跡取り。
大内源(ゲン)星と対立する暴走族のリーダー。後に仲間になる。
徳永周(トクナガ・シュウ)星の養父。
シラサギ第三世代の火星人。夢見(予言者)
ヨダカシラサギの弟
黒羽第四世代の火星人。長老の命により星を暗殺しようとする。
ペーブマン火星人研究局の所属。エスパーを憎み、星をとらえて生体実験しようとする。
アン・ジュール情報局所属公認エスパー。星をペーブマンの手から救い出す。
カッパ情報局所属公認エスパー。アン・ジュールの部下。
レガット地球の地下組織ソベクのボス。ヨダカらに助けられる。
ラバーバレガットの右腕。ヨダカたちが星を取り返すのを手伝う。
平賀ユーラシア貿易の社員
ミュージュ異星人。委員会のメンバー。
百黒老(ひゃっこくろう)火星人たちの長老。
【内容】
星(セイ)は15歳、ニュー・トーキョー・シティでパパ・シュウと二人暮らしをしている。コンタクトレンズをして髪を染めているが、赤い目、白い髪の火星人だ。火星で戦争のあった頃、両親に思念波でとばされ、シュウのロケットに現れた。シュウは自分のミスで妻と子を亡くしたところだったので、そのまま星を地球に連れて帰り、育てた。
長い間火星は犯罪者の流刑地として使われていたが、子どもが生まれなかった。その後地球で内乱が起き、火星への輸送が打ち切られた。100年後、地球人が再び火星へ行くと、赤い目の火星人が誕生し、生息していた。地球人は再び火星を支配しようとし、それを嫌った火星人たちは地球人に対して戦った。火星人は敗北し、地球人が再び火星の開発を開始した。星はその子孫で五世代目にあたる。
星は念力が使え、テレパシーや透視能力もある。その能力に気付いたエルグは遺伝子突然変異がいつ起こるのか知りたいと、星を火星に連れて行く。火星は戦争の後、地球人の手で新たな都市が建設され、40万人もの地球人が移住していた。一方、生き残った火星人たちは地球人にみつからないよう隠れて力を蓄えていた。
火星ではかつてクリュセという場所にドームが建っていた。そこの地下でしか火星人は生まれない。今は医局になっており、新しい火星人の第一世代が生まれていた。火星人は三世代で変異し、火星に適応する。
星は火星人の元へ戻るため彼らを捜していたが、火星人の予言者の夢見たちから「災いの元だ」と予知夢され、追われることになる。そして火星人を憎む研究員のペーブマンにつかまり、地球に連れ戻される。エルグは星を逃すため爆破した。星を追って火星からヨダカと黒羽が地球へ向かい、マフィアのラバーバの助けを得て星を探す。ヨダカは自殺した徳永博士の意識を追っているうちに戻れなくなる。
星はベーブマンの元で人体実験をさせられるが、公認エスパーのアン・ジュールに助け出され、身柄を人工島ロビンソンの地下にあるエスパー研究所に移される。そこにはまだ子供の第一世代の火星人たちがいた。ちょうどそこへベーブマンが現れたことが引き金になり、星は念動力を爆発させる。ロビンソン島は破壊される。
星はニュートーキョーシティのエルグのアパートへ飛んだ。そのアパートのドアが宇宙空間とつながっており、エルグが冬眠状態になって休んでいた。アパートにはミュージュという異星人がおり、星は復活したエルグとゼスヌセル系のアープという星へ移動する。星らは委員会の委員たちに火星の未来について聞かされる。
古代より、アミという宇宙の外からやってきた、超次元における形のない精神生命体が巣食う赤い星は赤色蛍星と呼ばれている。赤色蛍星の住民は破壊的なパワーの超能力をもち、夢魔という憎しみ合い殺し合う精神エネルギーによって精神を破壊される。それはその星の住民だけでなく、周辺の住民にも悪影響を及ぼす。そのため赤色蛍星の住民は能力を調整され、他の平和な星へ移住させられる。赤色蛍星自体は砕かれる。
火星は破滅の星だと告げられた星は破壊に向かわせない方法を探るため、エルグらの助けを借りてネクラ・パスタという古代の星へ行く。そこで委員会の追っ手に攻撃され、星は惑星の共鳴につかまって体が失われてしまう。
そのころ、火星ではフォボスが失われ、夢見たちが新しい予言を告げる。それは火星が失われてしまうというものだった。ラバーバはヨダカの魂を取り戻そうと、火星にやって来て百黒老にヨダカを見せる。アミの中でヨダカと星の魂が出会い、百黒老の呼びかけによってヨダカの魂は体に戻ることが出来た。その際ヨダカは女性の体に変化させ、星はヨダカの子供になり、一緒にヨダカの体に入ったのだ。
ラバーバは地球に戻りヨダカと結婚し、やがてジュニア星が生まれる。星ではあるが、精神はまっさらで、星であった頃の記憶はなかった。星が大きくなる頃、火星は失われてしまう。火星人がどこにいったのかはわからない。
星が惑星の共鳴につかまって体が失われた後、一人残ったエルグは封印を解き、惑星の共鳴に身を任せて精神を破壊させる。すると、惑星が再び生命の兆しを示し始めた。ネクラ・パスタは再び生き返るのかもしれない。
【コメント】
「スター・レッド」は「11人いる!」「百億の昼と千億の夜」に続くSF長編です。萩尾先生にしては珍しく、最後まで結末を決めずに見切り発車で描き始めたそうです。だからヨダカは性転換をすることになったとか…本当かどうかわかりませんが、旧小学館文庫の後書きで書かれています。
「百億の昼」「銀の三角」「バルバラ異界」などに比べるとずっとわかりやすいSFになっていて、火星に恋する少女と孤独に宇宙をさまよう異星人との恋と火星の悲しい運命が叙情的に描かれていて、ファンも多い作品です。
萩尾先生の描かれた火星人たちは古代人のような生活をしています。何もない岩だらけの場所で、シロワタという変わった家畜を育てています。杖をもつ予言者たちの姿や火星人のファッションはまるで砂漠の遊牧民のようです。一方でニュー・トーキョーシティのカッパなどはアンドロイドのような未来服を着ていて、意識的に対比させているようです。この砂漠地帯の古代遊牧民のような人々は、後に「マージナル」へと続くのでしょう。
SFファンにも高い評価を得、本作は1980年、第11回星雲賞コミック部門を受賞しています。
2010.6.17