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マリーン

原作:今里孝子

初出誌「月刊セブンティーン」1977年5月号(53p)

続・11人いる!―東の地平・西の永遠

小学館文庫 714 1977.8 290円

萩尾望都作品集・第二期 第9巻 半神

小学館 1985.3 580円 ISBN4-09-178029-6

ゴールデンライラック(プチフラワーコミックス391)

小学館 1982.7 480円 ISBN4-09-178391-0

ゴールデンライラック

小学館文庫(新版) 1996.5 580円 ISBN4-09-191016-5

萩尾望都パーフェクトセレクション 9 半神

小学館 2008.3.2 1680円 ISBN978-4-131224-2

【登場人物】
マリーン(セオドア・ビクトーリア・フィールズベリ)フィールズベリ伯の一人娘
エイブ・リーマン
ペイトンエイブの雇い主。エイブが孤児になった後、引き取り養育する。
ディデット・ペイトンペイトン氏の娘
テリー・ローブ全英ベスト4に入った実力のあるテニス・コーチ。エイブのコーチをかってでる。
ビンセント・クラークアマチュアのテニスチャンピオンで子爵。ビクトーリアの婚約者。
【内容】
エイブは6歳。父親はおらず、母親が病気になり、働きに出なくてはならず、ろくに学校にも行けない。ある日、エイブが母親の薬を買った帰り、近所の悪ガキにいじめられて薬を割ってしまう。その歳残りのコインもなくしてしまって探しているところへ、一人の少女が現れる。彼女の名はマリーン。片方のイヤリングを差し出し、これで薬を買うように言う。薬屋は高価すぎるとイヤリングをエイブに返す。エイブはイヤリングを大切にして、次に会ったら返そうと思う。
9歳の頃、エイブの前に再びマリーンが現れる。間もなく10歳のとき母親が亡くなり、雇い主だったペイトン氏がエイブの担任の勧めにより養育することになる。ペイトンの娘のディデットは何かとエイブに意地悪をするが、そんなときもマリーンはエイブを励ましてくれる。
ある日ディデットのテニスコーチとしてテリーがペイトン家にやってくる。テリーははずみでテニスをすることになったエイブに目をとめ、彼をテニスクラブに誘う。1年後、強くなったエイブは他校との試合で完封勝ちする。エイブを思うように出来なくなったディデットがヒステリーを起こし、エイブは追い出されそうになるが、テリーが引き取る。
テリーのコーチの元、プロテニスプレイヤーになり、さらに強くなっていくエイブ。力任せのプレイと言われるが、金を稼ぐため必死のプレイに全米、全仏の強豪とも戦って名をあげていく。
そんなとき、マリーンの正体がわかる。彼女は貴族のお嬢様で婚約者もいた。だがまず彼女が年下ということにエイブは驚く。エイブは強いショックを受けるがついに全英チャンピオンになり、マリーンの結婚式に呼ばれる。彼女の婚約者がアマチュアのテニスチャンピオンだったからだ。
ちょっとした挑発にわざとエイブが乗って、二人で試合をすることになる。圧倒的に強いエイブの前にマリーンが現れる。そして、マリーンは海の中に身を投げた。船の上にはイヤリングの片方が残っていた。
この時、マリーンは初めてエイブに会ったのだ。そして恋に落ち、他の男のものになることを悲しんで、波間に落ちて行ったのだ。そして、エイブのことを何も知らないまま死んでしまったことを後悔したのか、6歳のエイブに会いに行く。エイブは永遠にマリーンをつかまえることは出来ない。
【コメント】
輪廻転生の物語であり、永遠に追い求め、そして得ることが出来ない少女の物語です。「光と花の中」「ヴィオリータ」「みずうみ」と続き、ここで集大成とも言うべき作品に仕上がっています。
幻想的で、海の書き方などに「霧笛」や「みずうみ」の雰囲気もあり、萩尾先生らしいなと思う作品なのですが、その一方、「スポーツ」をこれだけ登場させることは珍しいと言えるでしょう。もちろん、ここでのスポーツはブルジョアと労働者階級からの成り上がりの対比というもののために使われているのですが、きちんとしたアマチュアリズムとプロの対立構造も描かれ、そこがやはり原作付きだなと思わせる点です。
尚、原作者の今里孝子さんは萩尾先生の長年のマネージャーである城章子さんです。
2010.6.7