みずうみ
(Bradbury傑作選)
原作:レイ・ブラッドベリ The Lake
初出誌「週刊マーガレット」1977年9号(18p)
集英社 1978.12 300円(集英社漫画文庫)
小学館 1985.12 580円 ISBN4-09-178026-1
小学館 1997.9.1 495円 ISBN4-09-191020-3
- 【登場人物】
| ハロルド | 東部で少年時代を過ごした青年 |
| タリー | 12歳で亡くなった少女 |
| マーガレット | ハロルドの妻 |
- 【内容】
- 12歳の少年ハロルドは東部のレイクブラフにある湖で母と一緒に過ごしている。彼は一人になって、ずっと一緒に遊んでいたタリーという少女に呼びかける。彼女はこの夏、みずうみでいなくなってしまった。いくら探しても見つからず、遺体もあがらなかった。ハロルドは明日は西部の街に引っ越さなくてはならない。ハロルドはいつもタリーと作っていた砂の城を半分つくり、残りはタリーに作って欲しいと湖に呼びかけ、去る。
- ハロルドは東部で成長し、大学生になり、サクラメントでマーガレットという女性と結婚した。新婚旅行替わりに二人はハロルドの育った東部の湖畔で夏を過ごすことにする。10年ぶりにやってきた街に二人は2週間滞在し、楽しく過ごした。
- ところが、明日は帰るという日、監視人の男性が湖から何か引き上げたのを見かける。ある予感をもってハロルドは彼に近づく。すると彼は、これは10年前の少女の遺体で、浅瀬にずっと引っかかっていたという。10年も経っていれば形が残っている筈はない。何故そんなものがこれまで気付かれずにあったのか。監視人にもわからない。
- ハロルドは袋をあけて見せてもらう。浜辺には砂の城がやはり半分のままだ。だが、その周りに小さな足跡が残っていた。
- 永遠に少女のままのタリーを、ハロルドは永遠に愛することを知る。戻るとマーガレットという名の見知らぬ女性がいた。
- 【コメント】
- 「少年時代の二度と還らない夏」という物語は、日本にも西洋にも映画でも小説でも登場します。これはそんな甘酸っぱい物語の一つではありますが、少しホラーめいたところもあります。
- イリノイ州レイクブラフはシカゴ郊外の街なので、この湖はミシガン湖でしょう。ですから波もあり、対岸も見えない海のような湖であることが想像できます。萩尾先生の絵は湖を駆ける風を感じさせてくれます。
- 「花と光の中」同様、永遠の少女を追い求める短編。ほかに「マリーン」や「ヴィオリータ」にも共通のテーマが見られます。
2010.6.7