霧笛
(Bradbury傑作選)
原作:レイ・ブラッドベリ The Fog Horn
初出誌「週刊マーガレット」1977年9号(32p)
集英社 1978.12 300円(集英社漫画文庫)
小学館 1985.12 580円 ISBN4-09-178026-1
小学館 1997.9.1 495円 ISBN4-09-191020-3
- 【登場人物】
- 【内容】
- マックダンは古くからこの灯台で船に信号を送ったり、霧笛を鳴らしている。最近やってきた二人目の灯台守ジョニーは休暇で明日街に戻るというその晩、マックダンはジョニーを灯台の明かりの下へ連れて行き、見せたいものがあると言う。
- マックダンによると、3年前から毎年この時期になるとやってくるものがあり、今日がその日だ。灯台は霧笛を鳴らしている。すると、海の底から死滅したはずの恐竜が現れる。
- 驚くジョニー。恐竜は霧笛と呼応するようにほえている。マックダンはおそらく恐竜が海底で眠っていたところへ5年前に立てられたこの灯台の霧笛が彼を起こし、少しずつ上昇して、やってきたのだろうと語る。だが、マックダンは何が起こるか見てみたくなり、霧笛を止めてしまう。すると怒った恐竜は灯台を壊してしまい、一晩中泣き続ける。
- 地下室に逃げ込んだ二人を、翌朝救助隊が助けてくれる。翌年、灯台は立て直された。マックダンは再び灯台守として赴任する。だが、ジョニーは街に戻った。そして、また永遠に待ち続ける恐竜のことを思う。
- 【コメント】
- 「ポーの一族」の後、集英社にSF短編をシリーズで発表されました。少女漫画にSFは禁じ手だったのを、萩尾先生が「11人いる!」で解禁しました。そして、少女たちにSFの基礎を教えてくれる講座のような作品群を発表されました。もちろん、ブラッドベリは先生ご自身が以前読んで印象に残っていた好きな作家だったのでしょう。余談ですが、竹宮先生の「地球へ!」が発表されたのも、1977年です。
- マックダンが何故霧笛を止めたのか。恐竜はある期待をもって遠くから来て、少しずつ慎重に、充分日を選んで灯台に近づいています。それは待っていた時間があまりに長いから。でも、その期待が裏切られて霧笛が鳴らなくなると裏切られたと感じ、二度と自分が傷つかないように灯台を破壊します。
- マックダンに「人生とは、こんなものだ」という語りをさせています。失いたくないものを失われてしまったと思い壊してしまったことは誰にでもあるのではないか、と。
- 「夜の霧深い海」を漫画で表現するのは大変だったと思いますが、おぼろな光、湿気、充分味わわせてくれます。「ヴォー」っという音が聞こえてくるようです。
2010.6.7