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影のない森

初出誌「ビックコミック・オリジナル」1977年2月5日号(24p)

萩尾望都作品集・第二期 第16巻 エッグスタンド

小学館 1985.1 580円 ISBN4-09-178026-9

【登場人物】
多田主人公。設計の仕事をする三十歳前の男性。5年前に離婚して一人暮らし
A多田の友人で、精神病理学の仕事をしている
B多田の会社の同僚
笛子多田の元妻
ななし多田が帰宅途中の道で出会った謎めいた少女
【内容】
多田は友人Aに、自分の家で預かっている「ななし」と呼んでいる少女の話をしている。ある夜、多田は田舎にある自宅に帰る途中で、白い服を着た少女を見つける。心配して家に連れ帰るが、何を聞いても「わからない」としか答えない。
多田は少女が「記憶喪失」であると考え、警察に連絡して、身元がわかるまで家に泊めることにした。たまたま胃の検査のために一週間の休暇を取っていたので、一緒に過ごすことになるのだが、訪ねてきた同僚Bや笛子には少女が見えないらしい。いったいどういうことなのか?次第に多田の話と現実の間に目に見えない亀裂が生じてくる。
【コメント】
24ページの現代劇。初めて青年誌に掲載された作品。心理学的なリアリティーと、現実が崩壊していく感覚が拮抗し合って、静かでありながら息苦しくなるようなサスペンスを感じさせる。また、「ななし」の語る言葉には、胸を刺されるような悲しみがあふれている。
「ひとりでいるとだれも話しかけてくれないから、自分が消えてしまったようなふうになることない?」
(2005.2.9 へびいちごさん)