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花と光の中

初出誌「週刊少女コミック」1976年14号(24p)

萩尾望都作品集・第二期 第8巻 訪問者

小学館 1985.5 580円 ISBN4-09-178028-8

【登場人物】
ルイ(ルーイ)
イザベル
マージ
【内容】
ともに五歳のルイとイザベルはいつも仲良く野辺で遊んでいた。二人は花と光に満ちた野辺で一緒に大きくなる約束をしていた。ところが、六歳になる直前にイザベルは木から落ちて死んでしまう。
イザベルのいない野辺になんか行かないと、ルイは家に閉じこもる。だが、野辺があるのにイザベルがいないことが信じられないルイは再び野辺に出る。そこでイザベルと名乗る別の少女に出会う。ルイは少女を嘘つきと突き飛ばしてしまう。ルイはイザベルという名の少女が嫌いになる。
ルイはイザベルが暗い土の中にいることが信じられず、どこかにイザベルはいると思っている。成長したルイは父親の死後、進学のため街に出る。大学でイザベルが成長したような女性に出会う。彼女の名はマージというが、ルイはイザベルと思いこみ、マージがいくら否定しても「イザベル」と呼び続け、小さい頃のことを覚えていないだけだと思っている。
次第に苦しくなってきた二人は、ルイの田舎に行く。少しも変わっていない野辺で、ルイは自分が探し始めたときからずっと、イザベルはここにいたことに気付く。彼の目にはもうマージは写っていない。ルイはイザベルに呼ばれ、五歳の頃に戻っていく。
【コメント】
この作品のような「失われた少女を永遠に追い求める」作品がいくつか見られます。特に「みずうみ」が近いですが、ほかに「マリーン」「ヴィオリータ」にも共通のテーマが見られ、これらの作品は描かれた時期も近いようです。「失われた恋人を永遠に求める」と言い換えても良いですが、必ず追いかけるのは男性の方です。
中でも、この「花と光の中」は最後にルイが少年に戻って行くというファンタジックな終わり方をしているだけに、不思議な余韻が残ります。
永遠を生きる「ポーの一族」の後に、永遠を求める作品が続けたところはとても興味深いことです。
2010.6.4