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リデル・森の中

(ポーの一族シリーズ)

初出誌「別冊少女コミック」1975年6月号(16p)1975.4

ポーの一族 第4巻(フラワー・コミックス4)

小学館 1976.1 320円 ISBN4-09-130004-9

萩尾望都作品集 第8巻 ポーの一族 3

小学館 1978.10 480円 ISBN4-09-178008-3

ポーの一族 第3巻

小学館叢書 1988.7 1200円 ISBN4-09-197063-X

ポーの一族 第1巻

小学館文庫 1998.8.10 562円 ISBN4-09-191251-6

萩尾望都パーフェクトセレクション 7 ポーの一族 II

小学館 2007.12.26 1680円 ISBN978-4-09-131220-4

参考:ポーの一族年表
【登場人物】
エドガー
アラン
リデル(リーランド・ソドサ夫人)エドガーとアランに育てられた少女
リデルの祖母
オービン卿
【内容】
エドガーとアランとリデルは森の中にある館を転々として暮らしている。幼いリデルにエドガーとアランが様々なことを教え、育てているが、外界との接触はまったくないままだ。少し大きくなると、森から森へ移る途中で人のいる村を通りかかり、それだけでリデルは驚く。エドガーとアランとリデルの3人の森での生活は調和を保っているが、時折リデルは自分だけが彼らから離されるのではないかと不安になる。
10歳の春、リデルは大きな街に行く。そこで大きな屋敷に入ると、祖母が待っていた。リデルはエドガーとアランにおいて行かれたことを知り、泣くが、次第に人間の世界に慣れていく。少し成長すると、自分を育てた少年たちが「大きくならない」と言っていたことを思い出す。彼らは成長せず、自分だけが成長するために、引き離されたのだと気付く。それでも彼らが突然やって来ないかと、窓をあけて眠るようになった。それでもいつしか窓は閉じられることになる。
その後成長したリデルは結婚し、子どもを育て、良家の婦人のように生きていく。それでもときおり、エドガーとアランとともに過ごしていた頃の自分を思い出すのだった。
【コメント】
「ペニー・レイン」の続編です。発表は「ペニー・レイン」の次の号ですし、単行本収録も小学館叢書以外はすべて必ずこの2作はくっつけています。リデルを連れて新たに旅立ったエドガーとアランのお話を年老いたリデルがオービン卿に語るという形式をとっています。
森の世界と人間の世界の対比がわかりやすく、描かれています。最初に読んだとき、このイングランドの森の世界というのがどれほど詩情あふれる世界なのかと、憧れたものです。
エドガーは当初リデルを仲間に加えるつもりで連れて行ったのに、迎えてくれる親族がいることがわかり、連れて行ったのでしょうか。エドガーがリデルに「リデルは僕たちよりも大きくなるよ」と言っているシーンがあります。せめて同じくらいの年齢に成長するまでは仲間に加えることが出来ないので育てているのかと思いましたが、最初からいずれは人間の世界に戻そうと思っていたのだと、この台詞でわかります。
おそらく、エドガーはアランと二人きりで行くのが不安だったのではないでしょうか?アランは甘やかされて育ったので、わがままなところがあるし、血のつながった妹とは違います。リデルは実際にけんかの仲裁などをして、二人の間を触媒のようにつなげています。言葉は悪いですが、倦怠期の夫婦のペットのような存在だったのではないかと思います。
それでも、二人がリデルをかわいがっていたことは確かで、両親がいなくても2歳から10歳の間、幸せに暮らしていた様子が、「ポーの一族」シリーズの中でも、ほっとさせる暖かい作品にさせているのだと思います。
ここでオービン卿が初登場します。この狂言回しは後半の「ポーの一族」シリーズに頻繁に登場しする人物ですが、ここが最初でした。
2010.5.7