ポーの一族
(ポーの一族シリーズ)
第21回(1975年度)小学館漫画賞受賞(「ポーの一族」シリーズとして)
初出誌「別冊少女コミック」1972年9〜12月号(121p)1972.10
小学館 1974.6 320円 ISBN4-09-130001-4
小学館 1977.11 480円 ISBN4-09-178006-7
小学館叢書 1988.7 1200円 ISBN4-09-197061-3
小学館文庫 1998.8.10 562円 ISBN4-09-191251-6
小学館 2007.12.1 1680円 ISBN978-4-09-131219-8
- 【登場人物】
| エドガー | |
| メリーベル | |
| ポーツネル男爵 | |
| シーラ | |
| アラン・トワイライト | セント・ウィンザーでのエドガーの級友 |
| ジャン・クリフォード | 医者。 |
| カスター | 医者。 |
| ジェイン | カスター医師の娘でクリフォードのフィアンセ |
| マーゴット | アランの叔父の娘でフィアンセ |
- 【内容】
- バラの咲くポーの村。ポーツネル男爵夫妻とエドガー、メリーベルは住み慣れたポーの村を旅立ち、街に移り住む。メリーベルの養生という名目だが、一族に新しい血を加えるためだ。夫妻は街に到着した日にホテルで会ったクリフォード医師に目をつける。
- 一方、エドガーは偶然馬に乗ったアランと出会う。エドガーはアランに近づこうとしてセント・ウィンザーという学校に通う。アランは貿易商会の跡取りで、級友たちを家来のように扱っている。エドガーはそんなアランを鼻で笑う。アランは自分のことを他の級友たちように扱わないエドガーを懲らしめようとするが、エドガーに怪我をさせてしまったことから、次第にエドガーと親しくなっていく。
- ポーツネル夫妻はクリフォード医師と親しくなるため、招待に応じる。その際、ほんのわずかだが、クリフォードに疑念を抱かせてしまった。鏡があることに気づかず、一瞬だけだがポーツネル夫妻の姿が映らなかったのだ。
- エドガーはアランを仲間に入れようとするが、失敗。あわてるエドガーに男爵が「疑念を晴らせ」と言われ、翌朝十字架を受け取ることでアランの不信をはらすことが出来た。一方、シーラはクリフォード医師にさらに近づこうとするが…
- 【コメント】
- 4ヶ月にわたり連載された、ポーの一族シリーズ初の長編です。本格的な幕開けにふさわしい、バラの村からのスタートです。
- 「ポーの一族」は18世紀から20世紀に及ぶ吸血鬼(パンパネラ)伝説に基づいた物語です。人間とともに生きながら人間とは違う生き物であることへの孤独、少年の姿のまま永遠に生きることの苦しみを描いた、少女漫画史に残る作品です。萩尾先生の代表作でもあります。
- あまりにも基本的なことなのですが、やはり書いておかなければなりません。「エドガー」「アラン」「ポー」で“ポーの一族”というタイトルになっています。
- エドガーはパンパネラとしては特殊な事例で、少年の姿のままなので、成長しないことを怪しまれるために、何年かおきに住む場所を変えなくてはなりません。ですが、人間の中にとけ込めない独特の雰囲気があるせいか、エドガーと接した人がみな彼を覚えていて、その記憶が紡ぐ歴史が描かれているという一面もあります。
- これから本格的に始まる「ポーの一族」なのですが、最初に「メリーベルの消失」というエドガーにとっては最もつらい出来事からスタートしました。読者は「ポーの村」でエドガーがどれほどメリーベルを大切に思っているか知っていて、かつ「グレンスミスの日記」でメリーベルがすでに死んでいることも知っています。ところが、この後、さかのぼって元気なメリーベルにも、もっと小さいメリーベルにも出会うことが出来ます。
- そして、同時に「アランとの出会い」があります。メリーベルからアランへ、エドガーのパートナーが交代するお話でもあるわけです。全体の流れからすると、おそらく中盤に位置する物語の転換期を最初に持って来てしまうという、この大胆な構造。最初はわからなかったのですが、じわじわとそのすごさがわかるようになっています。
- ところで、エドガーとメリーベルがポーツネル男爵夫妻の養子になってから、120年近くが経過しています。でも、相変わらず仲が悪い。1世紀以上こうやってこの人たちは暮らして来たんでしょうね。
2010.4.20