あそび玉
初出誌「別冊少女コミック」1972年1月号(31p)
少年/少女SFマンガ競作大全集5
―手塚治虫&ニューウエーブの旗手たち 東京三世社 1980.4.1 p19〜49
小学館 1985.3 580円 ISBN4-09-178029-6
- 【内容】
- ティモシーの学校で流行っているのは“あそび玉”というビー玉のようなガラス玉を一つはじき、その先に円を描いて置いてある九つの玉にいくつあてられるかという遊び。ティモシーは19回連続でストライクをとり、級友に驚かれる。
- 家に帰り何度か試すうち、ティモシーは自分の意志であそび玉を動かせることに気付く。母親にそれを見とがめられひどく叱られるが、ティモシーには何故そんなにいけないことなのか、わからない。
- 学校で級友に遊び玉を動かしてみせると、級友は驚くが教師は意に介さない様子だったが、ティモシーらが帰った後、教師はどこかへ連絡する。「超能力者がいる」と。
- そんなティモシーの話を聞いた上級生が現れ、あそび玉を動かしてみろと言われてティモシーは彼のサングラスを割ってみせる。その上級生のクラスに同じことをした者がいたが、病院に連れていかれ1ケ月後に亡くなったと聞かされる。
- 家に帰ると昼間から父親がいて、見知らぬ客が来ている。翌日熱を出したティモシーは母親の様子がおかしいことに気付いて不安になり、部屋を逃げ出す。
- 地下鉄の中で気分の悪くなったティモシーはある少女に助けられるが、超能力者でありながら普通の人のように暮らしている彼女から、超能力者は現在の社会システムを崩すため排斥され、処刑されるのだと聞かされる。
- それでも逃げるティモシーを当局は追いかける。超能力者との戦争は学校では何千年も前にあったことと教えられているが、本当は80年前に起こった出来事であり、その後普通の人間はこの星で、超能力者はテラという星で暮らすことにしたと語る。
- ティモシーはその地球という星へ曲がった宇宙空間を飛んで行く。ティモシーは思う。「そこでは放課後どんな遊びが流行っているのだろう?」と。
- 【コメント】
- 幻の名作と長い間言われ続けた初期SF作品です。雑誌掲載後原稿が紛失し、何年か後「SFマンガ競作大全集」に掲載するため活版のゲラ刷りから版下をおこしたが、にじみやかすれ、しみなどがひどかったこと。「II期作品集」で初めて単行本に掲載されたが、際限のないホワイト地獄だったという話が「“あそび玉”についてのエピソード」に載っています。
- この作品はまんま「地球(テラ)へ…」のオープニングではないかと言う意見が私の周りでは多いです。もちろん「テラへ」の方が後です。こちらでは超能力者と普通人には平和的な解決がされているのですが、「テラへ」ではその戦いがそれから行われていくわけです。
- 何より共通しているのは、社会システムが異端者を排斥するという点です。大人が子供に隠している歴史があることの恐ろしさもあるでしょう。
- SF作品としてはこの前に「精霊狩り」等がありますが、本格的という点では実はこの作品が出発点ではないかと考えられます。