ポーチで少女が子犬と
初出誌「COM」1971年1月号(12p)1970.8
小学館 1977.2 480円 ISBN4-09-178001-6
- 【内容】
- 家の前のポーチで少女が犬と遊んでいる。雨が降っている。医者、姉、家政婦、父親と次々帰って来て、少女に家の中に入るように言うが、少女は入らない。すると...
- 【コメント】
- これは怖い。さすが「COM」!というより「COM」にしか掲載出来なかったのでは?こんな短篇を描いてしまうあたり、新人ばなれした新人だったんでしょうね。最後の「バッ」っていうのがメチャメチャ怖いです。
文:永井
- このプロ7作目で、後に頻繁に使われる人物設定・重要な主題となる「周囲の人々とは感覚や考え方が違うために疎外感を感じる人物」「家族から虐待される子」が主人公として初めて登場します。
- 作者は後に発表する作品で、家族により傷つく子の母親を、肉体的か精神的に弱いという設定、または登場シーンが少ないなど、力を弱めて登場させつつも、子の傷については責任があると明確に描くことが多いのですが、すでにこの作品でも母親は「病弱」であり「救いのない結末に荷担」します。
- しかしこの作品は、疎外や虐待を描くための作品とはあまり思えません。作者がインタビューやエッセイで語る、「受験勉強」と「親に反対されつつ少女漫画家を目指す」というような少女時代に、あるいはこの作品発表時点での親との葛藤などのために、自身の胸の奥に沈殿し鬱積した重苦しいものを、大きなため息のように吐き出した作品に思えます。
- この作品では名前すらなく、その心の内も性格も境遇も明瞭ではない、虐待される子と虐待する側が、年月を経てしだいにくっきりと描かれるようになってきます。
文:まいが