2013年4月のエントリー一覧

04/19

2013

「Nemuki+」創刊記念 波津彬子さんトーク&サイン会

今市子先生のお花日程:2013年4月13日(土)
時間:17:00~17:45:トーク
   17:45~18:15:イベント(抽選会など)
   18:15~ :サイン会
会場:西武池袋本店別館8階池袋コミュニティ・カレッジ コミカレホール


なかなか金沢までは行けないので、東京でのイベントのときくらいは行かなくてはと思い、池袋まで行ってきました。「Nemuki+」創刊記念の方がメインだったようです。時間割を見ていただくとわかりますが、トークは45分のイベントでした。私は波津彬子先生のファンで『ネムキ』のファンではなかったので、もっと波津先生のトークを!とちょっと思いました。150名ほどで男性はほぼ見あたらず...。少しお若い方もいらっしゃいましたが、年齢的にはやはり少し高めの妙齢の感じではありました。ちらほらとお着物の方がいらっしゃったのが、さすが波津ファン、といったところでしょうか。

いくつか印象に残ったお話を書き残しておきます。ちなみに、波津先生は紺色の柳の刺し子のあるお着物で登場されました。ステキでした。


●「雨柳堂夢咄」は他社の雑誌で連載されるところだった。
「雨柳堂夢咄」は1991年に刊行された『眠れぬ夜の奇妙な話』第2号から連載が開始された(第1話「花椿の恋」)。この雑誌は『ハロウィン増刊』で出されたもので、定期刊行物になるかどうかわからなかった。ちょうど角川書店から仕事の依頼が来たので、『ASUKA 増刊ファンタジーDX』に「雨柳堂夢咄」の第2話「宵待ちの客」を書いてしまった。その直後に『眠れぬ夜の奇妙な話』が隔月刊化するという話が出た。篠原烏童先生が波津先生が「雨柳堂」を他社に描いてるから、はやく連載頼んだ方が良いと編集部にアドバイス。すぐに編集長から波津先生に連載の依頼がいって承諾。その2日後に角川からも「シリーズかしませんか?」という依頼がきた。間一髪だった。その後『ファンタジーDX』もなくなってしまったので、正解だったのかなと思っている。

●『ネムキ』の誌名
『眠れぬ夜の奇妙な話』は誌名が長いので、波津先生や篠原烏童先生が略して「ネムキ」と呼んでいたら、それを編集さんが聞いて使っていた。ある時編集長が『ネムキ』にしようと言ったが、『眠れぬ夜の奇妙な話』の方が素敵だと、波津先生は反対したが変わってしまった。

●『ネムキ』雑誌企画
『ネムキ』は雑誌の企画があった(編集部が立てた企画にのって、執筆者が描くという意味だと思う)。波津先生が泉鏡花原作の作品を描いたのは、その中での企画。1993年~1994年頃。「雨柳堂夢咄」に疲れたので、少し休ませてもらおうと思った。

●質問コーナー1「あのきれいなかけあみはご自分で描かれているのですか?」
かけあみはずっと自分で描いていたけれど、最近では時間がない時はアシスタントに頼むこともある。だんだん目と手が衰えてきた。

●質問コーナー2「ご自身に花郁悠紀子先生の影響はあると思いますか?」
花郁悠紀子のアシスタントをしていたので、画面の作り方などは影響されていると思う。が、描きたいものの方向性や作家性は違うなと感じている。

●質問コーナー3「雨柳堂の蓮はいくつくらい?」
蓮の年齢は20歳前後。少年でも青年でもどちらでもない。顔が大人っぼくなったり少年ぽくなったりするのはお話の流れで。年齢については読者のお好みでどうぞ。

一筆箋●質問コーナー4「雨柳堂夢咄のタイトルがいつも素敵ですが、どうやってつけているのですか?」
作品のタイトルは自分でつけている。ネームをつくってからタイトルを考えるのが通常。段取りに遅れてしまい、先にタイトルがないと、という時は季語辞典をもってきて選んできたりすることもある。季節感を大切にしようと思ってつけている。

抽選会では豪華賞品が出て、「レディ・シノワズリ」の原画があたった方が一番羨ましい。私はこの一筆箋があたりました。これだけでもむろん嬉しいです。

編集部やTONO先生の波津先生にまつわるお話を伺っていると、波津先生はファンタジックで美しい作品を描かれ、古都に住んでいて、お着物の似合う(ここまでは正しいのです)、おっとりとした漫画家ではないことがよくわかります。私含め古くからのファンの方ならご存知だと思います。波津先生は非常に実務能力の高い方で、チャキチャキと何でもこなします。イベントの仕切りも出来るし、事務能力も高いし、車の運転もうまい。その辺を指摘されると「段取り組まれるとちゃっちゃとやりたい方なので。」と言い訳されておられました。

しかしそれにもかかわらず、単行本のあとがき漫画ではいつもアシスタントにやいやい言われるぼーっとした漫画家が自画像なのです。「家ではぼーっとしているんです」とおっしゃっていましたが、果たして。