10/08

2011

25時のバカンス―市川春子作品集II

25時のバカンス―市川春子作品集II講談社 2011.9.23 ISBN98-4-06-310780-7

私には市川春子を語る言葉がない。「うわ、すごい」「きれいだ」「哀しい」「面白い」「なんだこれ?」という感嘆符ばかりが繰り返される。

だから『ダ・ヴィンチ』2011年11月号に掲載されたインタビューを読んで、自分が気になったことの答を教えてくれているので、そこをまとめてみたいと思う。

1) 人間ではない生き物への愛情:異形のもの好き→これは他人との距離をわかりやすく表現するために非人間的なものを描いている(インタビューより)

2) 兄弟姉妹へのこだわり(「25時のバカンス」は姉と弟、「パンドラ」は兄と妹、「月の葬式」は兄弟(本当ではないが)。→これは「近くて遠い感じが一番出しやすい」から。微妙な距離感を表現するのに使っている(作中「兄弟って近いようで遠いな」と甲太郎に言わせている)。

3) 狂おしいほどの愛→とにかく「愛」ですよね。みんな。「25時のバカンス」の乙女は弟のために研究を続けてついには貝になってしまう。よみちは間を救うために2年間猛勉強して帰って来る。ロロはナナたちを助けた宇宙生物(ナナたち込みで)とともに兄の命令に背いていく。

つまり、他人とは自分と違う生き物で、だからどうしても距離ができる。近いと思っていても遠かったりする。そんな他人を狂おしく愛して、命を投げ出す人間って美しい(orおかしいor興味深い)。

「ハッ」と息をのむようなシーンをかならず作っている。見開きの美しいシーンに息をのむ。「パンドラ」のダンス・シーン、「月の葬式」の月が落ちてくるシーン。「25時のバカンス」は見開きではないが、乙女が海に落ちていくシーン。その一方で「25時のバカンス」「月の葬式」には「ギョッ」とするシーンがある。乙女が顔をあけるシーンと間がセーターを脱ぐシーン。

ちょっとすぐにわからないSFっぽいところが、みんなの言うように萩尾先生っぽいのかなぁ。あまり私はそう思わないんだけど。最初の頃よく言われた高野文子っぽさは、2冊目でかなり払拭されている気がする。天才だなぁと思うのだけど、ちょっと以前より作品発表の頻度があがってきた。嬉しい一方、少し不安も。グラフィックデザイナーの仕事も続けているんだと思うんだけど、どうなんだろう?