最近読んだ本、見た映画・芝居、聞いたCD

2009年6月29日

いずれは死ぬ身

いずれは死ぬ身初訳はないが、『エスクァイア』をマメに読んでいたわけではないので、知らない作品ばかり。スチュアート・ダイベックとポール・オースターが入っていれば、買うでしょ、そりゃ。

「ペーパー・ランタン」スチュアート・ダイベック
高速道路では危ないよ…。いや、これを楽しみにしていたのだけれど、やっぱりシカゴから離れるとピンとこなくなるのかなぁ。中華料理店の様子は面白かったんだけど。

「ジャンキーのクリスマス」ウィリアム・バロウズ
ジャンキーの人情話。過去に読んだバロウズと同じノリで読み進めていったら、あまりに違う結末なので、驚いた。というか、笑った。

「青いケシ」 ジェーン・ガーダム
「すすり泣く子供」を「紙の空から」で読んだ。マザコン女性のお話ね。なるほど、同じような話だわ。

「冬のはじまる日」ブリース・D'J・パンケーク
これは好み。荒涼たる冬に閉じこめられた人々の生活。わびしく、苦しい話だけれど、どこかたくましい。舞台はウェスト・バージニアらしいが、アメリカ北部の田舎っぽいにおいがする。作者はもう亡くなっているのが残念。でも「三葉虫」の方も読んでみよう。

「スリ」 トム・ジョーンズ
「そんな歌手いなかったっけ?」の方なので自分は年配なのか…。面白い。オートミール朝昼晩と食べれば糖尿病が良くなるのか…。ダイエットにもいいのかしら。

「イモ掘りの日々」ケン・スミス
すみません。パス。

「盗んだ子供」クレア・ボイラン
ブラック過ぎて笑えない…。まぁ、確かに親になる資格のない母親はごまんといるだろうけれど。

「みんなの友だちグレーゴル・ブラウン」シコーリャック
「変身」スヌーピー版。

「いずれは死ぬ身」トバイアス・ウルフ
トバイアス・ウルフは邦訳も多く出ているし、現代アメリカ作家の中で評価の高い一人だけれど、だからと言って、あまり読む気にはならない。

「遠い過去」ウィリアム・トレヴァー
このアンソロジーの中では最も著名な作家の一人。アイルランドはあれだけ過激にテロしていれば、全体が急進的な反英なのかと思っていた。過去はそうでもなかったのか。しかし、ちゃんと馴れ合えているところが、じんわりとよかったのに。

「強盗に遭った」エレン・カリー
もうちょっといろいろ危機感を持った方が良いのでは?

「ブラックアウツ」ポール・オースター
オースター初期の戯曲。「幽霊たち」の原型で、ブラックとブルーが登場。フランス不条理劇の臭いがプンプンする。これのためだけでも新刊で買ったかいがあった。

「同郷人会」メルヴィン・ジュールズ・ビュキート
「墓の上で踊る」というと、この「おれの墓で踊れ」という本をどうしても思い出してしまう。

「Cheap Novelties」ベン・カッチャー
アメコミ…どうしても慣れないなぁ

「自転車スワッピング」アルフ・マクロフラン
男の子はどうしてこうバカなんでしょう。

「準備、ほぼ完了」リック・バス
終盤、突然視点が変わるので、ふいをつかれた。

「フリン家の未来」アンドルー・ショーン・グリア
最初「アマルフィ」っていうからイタリアの話かと思ったら、お店の名前なんだ。まぁ、だからといって何?という感想なのだけれど。


■著者:柴田元幸編訳
■書誌事項:河出書房新社 2009.6.20 293p ISBN4-309-20521-6/ISBN978-4-309-20521-2
■原題・初出:
Paper Lantern : Dybek Stuart(初出『エスクァイア日本版』1997年12月号)
The Junly's Christmas : William Burroughs(初出『エスクァイア日本版』1997年1月号)
Blue Poppies : Jane Gardam(初出『新潮』1998年7月号)
First Day of Winter : Breece D'J Pancake(初出『エスクァイア日本版』1996年11月号)
Pickpocket : Thom Jones(初出『エスクァイア日本版』1996年11月号)
Casual Labour : Ken Smith(初出『エスクァイア日本版』1997年3月号)
The Stolen Child : Clare Boylan(初出『エスクァイア日本版』1997年9月号)
Good ol' Gregor Brown : Sikoryak(初出『鳩よ!』2001年8月号)
Mortals : Tobias Wolff(初出『小説現代』2004年3月号)
The Distant Past : William Trevor(初出『エスクァイア日本版』1996年8月号)
Robbed : Ellen Currie(初出『エスクァイア日本版』1997年2月号)
Blackouts : Paul Auster(初出『エスクァイア日本版』1996年10月号)
Landsmanshaft : Mervin Jules Bukiert(初出『新潮』1998年7月号)
Cheap Novelties : Ben Katcher (訳し下ろし)
Swopping Bikes : Alf Mac Lochlainn(初出『新潮』1998年7月号)
Ready, Almost Ready : Rick Bass(初出『すばる』1989年5月号)
The Future of the Flynns : Andrew Sean Greer(初出『エスクァイア日本版』1998年1月号)