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2004年3月14日

「シャーロックホームズの冒険」第11巻

シャーロックホームズの冒険 第11巻■2001.7.25 ハピネット・ピクチャーズ


四人の署名 The Sign of Four
■スタッフ
監督:ピーター・ハモンド
脚本:ジョン・ホークスワース
ゲスト:ジョン・ソウ(川合伸旺)

「驚くべき体験だ…!」
若く清楚なメアリー・モースタンにワトスンがときめく。彼女に届いた謎の招待状に、ホームズは沸き立つ。莫大なる財宝を巡る、殺人と逃亡。そして裏切り。怪人物たちを追って、ホームズがテムズ河を疾走する!

■紹介
数年前に突如、行方不明になった軍人モースタン。その娘メアリの下に、未知の友と名乗る者から会見を望む手紙が届く。ホームズとワトスンを伴って出かけたメアリの前に、サディアス・ショルトーと名乗る人物が現れた。彼はモースタンの死と、そして彼女に与えられるべき財宝について語る。財宝を預かる兄を訪ねた一行は、宝の代わりに、奇妙な死に方をしたバーソロミュー・ショルトーの骸を目前にする。名犬トービィの力を借りて、犯人がランチを使って逃亡をはかったことを知ったホームズは、ベーカー・ストリート・イレギュラーズとアセルニー・ジョーンズ警部の協力で、テムズ河を逃げるスモールとトンガを追い詰める。捕まえたスモールが語った財宝の由来は、遠くインドに端を発する深い因縁であった。

■感想
過去の因果が今に報いの長編。正典でも長編第二作にあたります。さすがに気合いが入っているグラナダテレビ。ベーカー・ストリート・イレギュラーズは少年探偵団の走りだし、犬のトービィも大活躍。ショルトー兄弟の変てこりんさ加減や、義足の怪人スモールの恐ろしさといい、なんだか大人の読む推理小説じゃあないです。悪い意味ではないけど…。
悪いのは独り占めしようとしたショルトー少佐であって、モースタン大尉は高潔な人物だし、スモールも仲間のインド人たちとの約束を守ることを第一義に考えている男だという扱いは、勧善懲悪をわかりやすくした図ということなんですが、でもね、モースタンも囚人と組んで財宝の分け前にあずかろうとしたわけだし、スモールやインド人たちは人を殺してますからね。あまり少年少女向けのわかりやすい人物像というわけにはいかないでしょうけどね…。
問題はトンガの映像化でしょう。あれって人間ですかね?ひどいよなぁ…イギリス人ってのは現代でもアフリカ人に対してああなんですかね。ずいぶんと黒人が多い社会になっているので、そんな筈はないと思うのだけど。ああ、でもサッカーの試合中に黒人選手が侮辱されたりしてますね。サポーターのみならず、同じフィールド内にいる選手にもね。
ロンドンだけでなくて、マンチェスターやリバプール、ヨークシャーなどでもロケが行われたそうで、気合い入ってますな。しかしランチって小型汽船のことなんですが、迫力のある追走劇とは少々なりにくい乗り物かと。
正典ではメアリと結ばれるワトソンですが、ワトソンとホームズが別居しないこのテレビシリーズでは残念ながら「淡い恋心(ってトシかい)」で終わってしまいます。メアリの最初の訪問の後のワトスン「魅力的な女性だ」ホームズ「気がつかなかったよ」はそのまま少々いじわるなホームズの台詞なんですが、ラストのホームズ「気がつかなかったな…」は前に「君がそういう想いでモースタン嬢を見ていたとは」が入るような、そんな気がしました。

(オススメ度:☆☆☆☆☆)