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2002年7月29日

「愛のめぐりあい」撮影日誌―アントニオーニとの時間

■著者:ヴィム ヴェンダース著,池田信雄,武村知子訳
■書誌事項:キネマ旬報社 1996.9.1 ISBN4-8736-185-9
■感想
ヴェンダースだって一流と言える映画監督なのだから、いくらイタリアの巨匠といえども、そうそう「はいはい」と何でも言うこと聞くわけにはいかん、でもなー。という雰囲気の伝わる撮影秘話。だいたいが映画監督なんて強烈なエゴがある人たちが、よくまぁ一緒にやれたもんだと思う。意外とヴェンダースってお人好しなんだな、とも言えるが、要するに自己顕示欲と謙虚さは一人の人間にきちんと宿ることもあるのだ。
自分の撮影したフィルムを自分が編集する権限がない、という経験を「ハメット」でしたヴェンダースは、それ以後自分で製作まで携わり、自分の映画の権利を強く主張する。がミケランジェロが手を入れたカットをいったんは受け入れがたいものとしながらも、受け入れる。クリエイターvsクリエイターの闘いの中に、相手を思いやる
ミケランジェロのおかげで、マルチェロ・マストロヤンニの教師や猟師が見られなかったこと、枠物語の多数がバッサリ切られていたことが判明。私の立場からすると、残念無念。