1998年ワールドカップ 決勝トーナメント1回戦 アルゼンチン×イングランド

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1998.6.30 21:00 サンテチエンヌ:観衆36,000人

アルゼンチン 2 - 2 (PK 4 - 3) イングランド

得点バティストゥータ(6分),サネッティ(45分)
警告ベーロン(44分),シメオネ(47分),アルメイダ(73分),ロア(121分)
スタメン
GK[ 1] カルロス・ロア
DF [ 2] ロベルト・アジャラ
[14] ネルソン・ビーバス
[ 4] ヘクトール・ピネダ
[22] ハビエル・サネッティ
[8] ディエゴ・シメオネ(→92分 [16] セルヒオ・ベルティ)
MF[ 5] マティアス・アルメイダ
[11] ファン・べーロン
[10] アリエル・オルテガ
[ 7]クラウディオ・ロペス (→69分 [20] マルセロ・ガジャルド)
FW [ 9] ガブリエル・バティストゥータ(→69分 [19] エルナン・クレスポ)
PK戦
ベルティ-シーラー
クレスポ×-×インス
ベロン-マーソン
ガジャルド-オーウェン
アジャラ-×バティ


●試合を見終わって
壮絶な、あまりに壮絶な試合でした‥。疲れました。
前半はこれが決勝トーナメント1回戦か?と思われる好ゲーム。パンチの応酬となり、わくわくしました。
まず開始早々6分、ペナルティエリアでチョロが倒されPKを得ます。これをバティが確実に決めて先取点。ところがその4分後、これがこわかったオーウェンの切り込みにパニクッたアジャラPKを与えてしまいます。けど、どうみてもファウルじゃない。若いのに芝居の上手い、さすがはオーウェン。これをイングランドのドゥンガ(勝手にそう呼んでます)シアラーがこちらも確実に決めて1−1。試合は振り出しに戻ります。
その後も殴り合いは続き、16分、オーウェンのうそっとしか思えないトラップ→切り返しで一発くらいました。これはこんなプレイを見られたことを喜ぶ気持ちが先に走ってしまい、DFは責められません。
もう完全に自分たちの形で攻撃が出来なくなってしまったアルゼンチンはイングランドのカウンターを次々くらい、危ない場面を「こんなセーブも出来るのか、見直したぞ!ロア」などで救われ何とか無得点にしのぎます。もう後半に期待するしかないかな、と思っていたロスタイムに、ゴール前でクラウディオのキープをつぶされて得たFK。これをベロンが全く予想外の方向に蹴り出し、サネッティが受けて左足でシュート!盛り上がる盛り上がる。前半を2−2の全くの五分で折り返します。
後半開始早々、チョロがベッカムを倒してしいまいます。この時はじめて前半にほとんどファウルがなかったことに気付いて驚きました。これを、それまでファウルスレスレで押さえられていたためか、ベッカムが倒れた後にチョロに蹴りを入れてしまいます。と言っても、それほどひどいものではなく、見つかってもイエローくらいのものでした。審判はこれを流そうとしたのがかえってまずかった。当然審判にくってかかるアルゼンチン、そしてベッカムが暴言を吐いたかなんかで、一発レッド若いっ若すぎる!。審判は公平にしようとチョロにもイエローが出てしまいます。これが実はアルゼンチンにとっても非常に裏目に出てしまうことになりました。
イングランドは以後一人少ない人数で守らなければなりません。これを巧妙にポジションを変えてカバーします。そして、アルゼンチンはと言えば一人余って余裕が出たのはいいけれど、イングランドが下がってしまったが故に得意のスピードのある攻撃が全く出来なくなります
この時点で得点が出来なかったのは、確かにバティとクラウディオの調子の悪さが理由でしょう。しかし少なくともクラウディオは押さえられながらも少しずつ復調の兆しを見せていました。更にバティストゥータという選手は90分の中で一瞬必要な時にだけ、爆発力を見せる選手です。この降着状態を打開しようと、予定されていたガジャルドの投入は理解出来ましたし、バティに見切りをつけるチャンスをずっと伺っていたパサレラにしてみれば、一度に投入するのも気持ちはわかります。しかしこれが完全に裏目に出てしまいました。
オルテガ、ガジャルド、サネッティとドリブラーの集合体となってしまったアルゼンチンに対し、更に一層ガチガチに守るイングランド。狭いスペースを針の目のようなパスを通そうとしますが、ギリギリのところでカットされてしまいます。両サイドへの展開や、イングランドのラインを引き上げようとする試みもないまま、降着状態は果てしない消耗戦へと突入。攻め手に欠けるアルゼンチンに対しイングランド有利かと思われましたが、へとへとでプレイに正確さが全くありません。どうにもこうにも試合は進まず、ついに延長戦突入。
後半一人少なくなってからのイングランドの守備の素晴らしさに感服しました。たとえ一人少ないにせよ、これで得点出来ないようでは、もうワールドカップ終わっても仕方がないかも、という気持ちと、こんな時に勝ててこそ「勝負強い」という称号を得ることが出来るのかも、という気持ちが交錯していました。
さて、延長戦に入りますが、状況は全く変わらず。攻め疲れに陥らないよう気を付けていたアルゼンチンも、とうとうへばって来ました。イングランドの疲労は更に一層ひどい。でもギリギリ粘っている。こんな状態を一人で打開出来るスタープレイヤーがアルゼンチンには一人いたはずなのですが、引っ込んでしまっている。結局降着状態に変化は現れませんでした。
こういう時のPK戦は押されていた方が気持ち的には有利です。しかもハードストライカーがイングランドには多く、アルゼンチンには少ない上にバティストゥータがいない‥。PKはアルゼンチンの先行で始まります。もう息もつけませんでした。ロアも当然ですが非常に神経質になって、ちょっとした揺さぶりに抗議して余計なイエローもらう始末。復調してないクレスポが外すも、次をロアが止める。そして最後、イングランドの5人目をロアが‥止めました。 アルゼンチンの欠点ばかりが目についた、イングランドの良さが光ったこの試合。それでもとにかく勝ちました。信じられないほど疲れる試合に勝利して、これが「ワールドカップでの強さというもの」だと実感しました。イングランドは運に見放されていたわけではなく、ただ、最後に運を呼び込んだのがアルゼンチンだったのかもしれない。この試合はこれでしかあり得なかった、そんな気がしました。
組織力のみに頼っていると、こういう時にしっぺ返しをくらう。そんなことはパサレラは百も承知していたはずです。個々の選手に高い個人技をも要求していたはずなのに、そしてそれをオルテガもガジャルドも実現出来る素質があるにもかかわらず発揮出来ない。これが若さというか力なんでしょうか。対するイングランドも、きっとこういう時こそ必要だったベッカムを欠いてしまっている。五分と五分のチームだからこそ、そのチームのもっている長所短所のみならず、普段は見えない部分も全てさらけ出してしまった試合でした。
アルゼンチンにとって不運だったのはセンシーニの欠場ではなく、ガジャルドの完全復調が間に合わず、その上クラウディオが調子を落とした状態でワールドカップに突入してしまったことです。始まった頃よりはよくなったと思いますが、更にクレスポの復調とバティの調子の悪さと交差している状態でこの試合を迎えてしまいました。元気なのはアリエルとサネッティだけ‥。
とにかく次はオランダです。不安も多く抱えていますが、この勝利、とにかく大きい筈です。イエローを4枚抱えても、先に進んでいかなくてはなりません。

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